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ソフトウェア製品開発現場の視点

コンピュータは再びユーザの時代へ

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どのようなものについても言えることであるが、世の中の流行や方向性は繰り返しながら次に進む新しい方向性が決まってくる。車の形はある程度の周期で丸くなったり角ばってきたりするし、色の流行は、白くなったりダーク系になったりする。ただ、もう一度同じ場所には戻らずに、同じ傾向であっても必ず新しい(とみんなが感じる)方向になる。

コンピュータに関しても、最初のメインフレーム系の集中処理から、Unix や PC を中心とした、client / server 系に移行したが、その後 Web Application Server 系の集中処理に戻ってきた。インターネットによって「繋がった」世界を有効に利用する仕組みとしては、集中処理のほうが適していたことが、最大の理由であろう。インターネット上の「新しい」ビジネスを構築するには、集中処理のほうが適しているといえる。

一方、企業内ネットワークの管理者の立場から見ると、インターネット技術、特にブラウザを使った「集中処理」は、管理を容易にする仕組みとして歓迎された。Client/Server 方式によってコントロールが難しくなった企業内システムを管理するためには、最適であった。

しかし、ブラウザ中心の集中処理方式は、企業内でのコンピュータの利用の促進と、情報の集中管理には役立ったが、ユーザの自由度は、それによって制限され、ナレッジワーカーの生産性を落としてしまうことも多く見られた。

ブラウザ中心のソフトウェアの集中管理による生産性の低下が明らかになってきたことで、集中管理の良い点は引き継ぎながらも、生産性を上げるという新しい流れがはじまっている。その中心は、Ajax 技術を使ったブラウザよりのものから、Client 側に何らかの仕組みを入れてしまう Rich Client と呼ばれるものまで幅広いが、どれも「ユーザの使いやすさ」に視点を置いているところが重要である。

一方、それとは全く別のハードウェアの世界でもユーザインタフェースの革新の流れが始まっているようだ。以下のような技術は、その方向性を感じさせる。

  • iPhone の multi-touch 機能
  • 任天堂の Wii リモコンという全く違った概念の操作デバイス
  • (ちょっと古いが) 同じく任天堂の DS のペン入力、文字認識、図形操作技術など

マウスとキーボードで何にでも対応していた状況が今後急速に変わってくることで、新しい世界が見えてくるかもしれない。

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