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ソフトウェア製品開発現場の視点

カーナビは相対性理論がなければできなかった

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私は、もともとエンジニアなので、数学や物理学などのすぐには役に立ちそうにない理論よりも、技術で社会を便利にするということに関心があった。アインシュタインの相対性理論も、一度勉強した記憶はあるが、「仮に光の速度に近い速度で飛べる宇宙船を作ることができれば、宇宙船の中にいる人と外にいる人の間で時間のずれが生じる」という程度の認識であった。技術者的には、「まあ、そんな宇宙船など作ることはできないので、相対性理論も普通の人がその理論の恩恵を受けることはない」と思っていた。

ところが、GPS受信機 (カーナビ) の情報をインターネットで探してみると、「GPS は相対性理論を考慮しなければ、正しい位置情報を得ることができない」ということが書かれているサイトに出くわした。相対性理論が考慮されなければ、1日に 10km 以上の誤差が出てしまうということである (詳細は、Google かなにかで "相対性理論 GPS" で検索すればいくつかのサイトがヒットしますので、そちらを参照してください)。非常に簡単に説明すると、GPS 衛星に搭載されている原子時計の時間が、衛星がかなり速いスピードで移動していることと、地上よりも重力が弱い場所にあるということのために、地上とは時間のずれが生じてしまうということのようである。GPS は、いくつかの GPS衛星からの電波が GPS受信機 (カーナビ) に受信されるまでの時間差で GPS 受信機の位置を特定するしくみなので、時間の基準となる衛星に積まれた原子時計の時間がずれると、位置情報がずれてしまうのである。GPS の設計段階にはすでに相対性理論はあったので、それを考慮した補正を衛星に積まれた原子時計に適用してみたらしい。結果として正しく位置情報が得られたので、実験的にも相対性理論が証明されたことになった。

もし相対性理論がないときに GPS の仕組みが作られたとしたら、衛星を飛ばした後で正しい位置情報が得られないことに気づき、理由もわからないまま GPS 計画は失敗したかもしれない。科学の重要性と、日常生活と科学の距離の近さを感じさせてくれる、ちょっとわくわくする情報であった。

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