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ファイル同期とファイルサーバ

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すぎもとです。たまにはまじめに。

弊社で作っているECMファイル同期ツールCmisSyncとECMの組み合わせですが、ファイルサーバのリプレースとしてご提案させて頂くこともけっこうあります。同期ソリューションでなくても、ECMそのものがファイルサーバリプレースの文脈で出ることは多くあります。

ただ、やっぱり思考がファイルサーバの延長のままだと、期待とのギャップがあるかなーと思うこともしばしばあって、今日はそんなことをつらつらと書いてみます。

ファイルサーバでWebDAVやファイル共有を使うときの利点はやはり「そのまま開ける」ことでしょうね。ローカルPCに実体を置くことなく、サーバ側のファイルが開けます。

ECMやファイルサーバの代替を謳う製品にはこのファイル共有の機能があることがおおく(ファイル共有はCIFSプロトコルと言われます)あります。ただ、この「ファイル共有」をファイルサーバそのものの代替と思うとたいていは期待外れに終わるので注意が必要なのです。ファイル共有を実現するとたいていはパフォーマンスが得られません。そのうえで作業をするのはかなり難しいです。比較表だけを見ているとこのファイル共有が使えれば、置き換えてもファイルサーバと同じ使い勝手が得られる、と思われるかも知れませんが、それはうまくいかないのです。

もっとも、このファイル共有プロトコルは、たとえば複合機など外部装置などから吐き出すファイルの指定が特定の共有フォルダしか設定できないときなど、限定的な用途であれば意味がありますからそういう用途が想定できれば使えるECMを選ぶのが良いでしょう。

となると、もうファイルサーバと同じような使い方をECMでそのままやるというのは、ちょっと無理があると思った方が良いわけです。ファイルを作成したり使ったりするユーザとしてみれば、操作自体が変わって迷惑かも知れませんが、そもそもECMを入れ、ファイルのライフサイクルを総合的に管理しましょう、という話になったときに、ユーザはその意識を一切しなくても良い、というのは実は無理があります。ユーザもまた、ファイル(=企業資産)を作成して、それを管理状態に置くためのフローの一端を担っているという意識付けが、(たとえ薄くても)必要なんじゃないかなと思うわけです。

とはいえ、どんな意識であろうと、人間はめんどくさいことはなかなかしたがらないですし、それを組織として習慣づけるのは大変なことです。そこで、同期ソリューションという話が出てきます。共有フォルダで編集するのも難しい、ファイルをいちいちECMへ放り込むのはめんどくさい、というところで、ファイル同期を使うことで、ローカルPC内にECMと同期されるスペースをつくって、ユーザはそこにあるファイルを操作しているだけで、ECM側に同期され、管理されるという状態を作ることが出来ます。

これでユーザの管理コストはだいぶ減ります。それでもやはりファイル共有とファイル同期はちがうものです。そこのギャップはどうしたって利用者側が飲んでいただくしかなく、期待とのギャップがある部分だよなーといつも思うのでした。

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