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元・外資系ハードウェアメーカー・マーコム担当の、人生のお休み徒然日記。

IT分野の翻訳は難しい? その2 ~翻訳会社との格闘編~

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年末から悶々と悩んでいた、「翻訳の問題」
実はまだ解決していません。

翻訳チームのマネージャーから、"一度、委託先の翻訳者とレビュー担当者と、テレカンファレンスで直接話してみませんか?"と提案があり、早速実施してみたのですが、こちらの指摘する部分に対して、いちいちネガティブなレスポンスが返ってくるので、愕然・・・。
その後も、こちらが修正依頼をした翻訳物の各パートをエクセル化したものの、フィードバックが来たのですが、レビュー担当のコメント欄ににはずらっと全て「Agree with translator」。
それじゃレビュー担当者なんて要らないから、その分翻訳費用安くしてよ!(翻訳費用には翻訳者の報酬とレビュー費用が合算されている)と言いたくなるような反応でした。

あまりに頭に来たので、翻訳会社名を晒してやろうかと思ったりもしたのですが、あまりに大人げないので、何が問題なのだろうかとじっくり考えてみた結果、
1.弊社の担当者が書いている原文が分かりづらい。
  概念的・ファンタジック(小説的)である。
2.翻訳者が、翻訳メモリツールに頼る度合いが大きく、以前訳した単語をそのまま他の文章でも使ってしまう傾向がある。
3.翻訳にかけるリードタイムが短い。

というざっくり3つの問題点があることが分かりました。

1.については、原文を読んでいて明らかに私たち社員でも「?」と思うことがあるので、これは書き手の問題です。
先日、永井さんがエントリされていた、「多国籍企業とグローバル企業は、何が違うか?」を読んで、なるほどそうだな、と思ったのですが、弊社はどうも『グローバル企業』になりきれていないような気がするのです。
つまり、「本社の機能をコピーして現地法人を展開する」(永井さんBlogより引用) ということしか、まだ出来ていない。

例えば、本社から来たホワイトペーパーのとある一文。
『超人ハルクが~・・・』
超人ハルク、って何?とお恥ずかしながらWeb検索してしまいました。
私ですらこの状況、ホワイトペーパーの読み手であるお客様で、「ああ!ハルクね!」と共感する方は何人いるのでしょう。
先日書いた、アメフトのパッカーズのチーム名を『缶詰軍』と表記してもカッコ悪いし通じない、というのと同じです。
そうした、"他国のユーザーと共通認識や共感を呼び起こせない"ような表現が散りばめられているのは、確かに翻訳者の方からすれば訳しにくいことでしょう。

これは、私たちが社内で、グローバル化を進めるにあたって、最も啓蒙活動を行ない、改善していくべき点だと思います。
本社の人間を非難するわけではないのですが、どうも我が社の本社の人達、『自分達がナショナル・スタンダードだ!これを広めたら、絶対正しい!』という観点で物ごとを考えがちなので・・・。

2.について、確かに翻訳ツールを使えば、2度目以降に出てきた単語はディスカウントされるという私たちにとっての利点と、翻訳者が翻訳時間を短縮できるという利点があります。
ですが、前後の文脈を無視して固定的な訳を返してくるため、日本語としては非常に硬かったり、主語と述語が結びつかず、Webツールで簡易翻訳をしたかのようなヘンテコな日本語になっていることが多いのです。
合わせて、3.の問題を取り上げ、『レビューの時間が無く、本文を読み返せない』というフィードバックを貰ったのですが、例えばあと1日長く〆切を設けたとして、果たして、殆ど直す必要の無い正しい(好ましい)日本語の原稿が戻ってくるのか、と疑問に感じます。
IT企業の翻訳を多数手がけている、と豪語する割には、IT用語を知らなかったり、一般の方には分かりづらい用語がカタカナ英語のままで表現されていたり・・・。

何より、日本語としておかしな文章がそのまま、というのがどうも納得がいきません。
あまりに酷いので、『これ、本当に日本人の方が書かれたのですか?』と思わず聞いてしまったほどです(とても失礼)。
でも、翻訳者としてプライドを持ってお仕事されていたら、こんなこと有り得ないでしょう?と思うほどのレベルだったのです。
私も英語が得意なほうではないので、辞書と格闘しながら原文を訳してみましたが、私のレベルであってももうちょっとマシな訳が出来たくらい(実際に私が直した文章をフィードバックとして送りつけました・・・)。

翻訳会社を変える、という選択はあるのですが、いい翻訳会社は多々あれど、私たちが持っている翻訳費用の中で、大量の翻訳物をカバーするには、どうしても量と質のバランスが取れなかったり、悩ましいところです。

愚痴を言っていても仕方ないので、どうしたら翻訳者とレビュー担当者のネガティブスタンスを変え、翻訳の質を上げてもらえるのか?と外資系企業のサイトを見ながら、日々模索しています。

ところで、他の外資系企業では、どのように上手く翻訳を行なっていらっしゃるのでしょうか?
もしかしたら翻訳ではなく、日本で製品担当者の皆さんが一から書いているのでしょうか?
他社サイトを見るにつけ、『ちゃんとしていて羨ましい~』と指を咥えて見入ってしまう、今日この頃の私です。

Comment(5)

コメント

いつも興味深く拝見させていただいております。
当方で担当している IBM developerWorks Japan (http://www.ibm.com/developerworks/jp/)は、USの英語オリジナル記事を翻訳したものを無料で提供しており、今年の3月で10年目を迎えます。
翻質に関しては、サイトの開設当初に利用していたベンダーさんの訳質が低く、そのままでは公開できないので基礎研究所の社員にレビューを依頼して直したものを使用しておりました。直したものをベンダーさんへフィードバックし、「学んでいただく」ことが必要でした。要するにベンダーさん側の翻訳者とレビュー担当者のスキルの育成も行う必要があると思います。また、時には読者の方々から翻訳がおかしいというご指摘も受け、「こういう訳ではないか」というご提案をいただきそれを関係者でチェックして修正したこともありました。こういう時代ですので情報を共有してお互いのスキルアップをするという姿勢が大事ではないかと思います。

nao

>dW Japan 編集長さん
詳細なコメントありがとうございます!
同じ道を辿ってこられた方のご意見は、本当に参考になります。

翻訳者とレビュー担当のスキル育成の必要性を、痛感しているところです。
こちらのフィードバックに対するベンダー側の反応がイマイチなので、やる気のあるベンダーでないなら、いっそのこと契約を切ってもいいのでは?と社内でも議論されています。
双方がスキルアップに対して前向きでないと、壁は乗り越えられないのかもしれませんね。

nomujo

5/21の記事からここまで読み上って来ました。
以前は外資系のマーコムにおりましたので、パンフレット、Webなどで翻訳会社との窓口も担当しており、さとなおさんのお気持ちがすごく共感できました。私自身は英語はほぼできないので、翻訳戻り→おかしい日本語表現のチェック修正→英語のできる担当者にレビュー・修正。という形での流れが基本でした。合併した会社の方が「翻訳は絶対この会社、しかもできればXXさんにお願い」というのも良く聞きます。洋書の翻訳もそうですが、小説家並みの文書作成・表現能力がないと作品にはなりません。つまり日本語での文書作成スキルも翻訳者には必要と言えると感じました。また、DW Japan編集者さんもおっしゃっているように業界用語やジャーゴンも多いこともあり、やはり翻訳者の方のスキル育成も必要だと思いますし、そういう姿勢も翻訳会社に必要だと思います。(次々と新しい用語や仕組みなどができてくる業界なので)

最近利用しましたが、英文翻訳なら値段的にも質的にも
http://www.uni-edit.net/
がよかったです。
何回か再翻訳もお願いしたのですが無料で見てくれ、親身になってくれて気持ちよくやり取りができましたよ。

nao

>nomujoさん
すみません、しばらくアクセスできておらず、コメントいただいていたのにお返事遅くなってしまいました。
>>洋書の翻訳もそうですが、小説家並みの文書作成・表現能力がないと作品にはなりません。つまり日本語での文書作成スキルも翻訳者には必要と言えると感じました。
本当に、仰るとおりです。
学生時代に英語の成績よりも、国語の成績が良かった方のほうが、最終的にスキルが高いとか・・・そういう傾向、あるような気がします。

>マリオさん
こんな古い記事に、フィードバックありがとうございます。
また、情報ありがとうございました!
Globalから降りて来る翻訳物以外は、日本独自で業者に依頼して良かったりもするので、紹介いただいた業者さんにもお願いできるか、早速検討に入ります。

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