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モバイルシフトとソーシャル化によって変化するネットの世界を、読者と一緒に探検するBlogです。

続・「ガラパゴスで何悪い」と言う前に、もう一度考え直してほしいこと。

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まずひと言。AppleやGooleのモバイルに関する戦略についての僕の見解については『アップルとグーグル』を読んでください。


そのうえで、もう一度繰り返しておこう。

日本のメーカーはiPhoneに学ぶべきだ。それがいやならLGやサムスンを見習え、と言ってもいい。あるいはHTCあたりでもいいのだが、Appleの戦略はシンプル&明確なのでより学びやすい。かつ高品質・高ブランド力という日本メーカーとの共通点がそもそもある。

僕は輸出できるケータイを作るべきだと言っているのである。キャリアに向けて言っているわけではなく、ハードウェアメーカーへのメッセージなのだ。

野球でもサッカーでもアイススケートでも、最近日本は韓国とのマッチレースに直面している。WBCでの韓国戦で心を熱くした人は、テレビなどの家電の分野でも韓国に市場を奪われていることについてどう思うのか?まして、ケータイについていえば、世界市場で 日本は韓国メーカーにめった打ちされてあざ笑われているのである。

僕はなんとしても、日本発の優れたケータイが登場して、世界市場を席巻してもらいたい。そのためには何度でも同じ主張をしよう。

僕が勧めたいスマートフォン戦略はこうだ。

ハード:
世界に向けて輸出すると同時に国内でも売ろうと思えば、やはりタッチパネルでソフトウェアキーボードだけにしたほうがいい。開発コストも下がるし、多言語対応も容易だ。

OS :
OSは残念ながら自分たちで開発するリスクは日本では現状とれない(PCでさえやってない)から、現実的にはAndroidを採用することが最善だろう。App Storeの代わりにAndroid Marketがある。OSのアップデートも、ソフトウェア開発者のネットワークも代わってやってくれる。(Google依存は業腹だが、いまのところしょうがない)

ネットサービス:
どうしてもApp Storeみたいな独自サービスが欲しいのであれば、任天堂に助けてもらおう。任天堂のソフトウェア開発力とセンスならAppleに(別軸であっても)対抗できる。Wiiケータイ、は良いアイデアだ。
同時に、トヨタの車のPNDとして利用できるような連携を考えたい。できるならばトヨタのカーナビとオーディオシステムとの連携だけなく、走行状況や燃費、アクセルの開け方などの情報を仲介する機能を開発したい。燃費を良くするためのCPUプログラムのバックアップや更新を、このスマートフォン経由で行う。このアイデアはNIKE+の自動車版である。

日本発として戦うのであれば、任天堂とトヨタと組む。そのうえで家電メーカーとも交渉する。これが最良の選択だ。

この戦略をやるうえで良さそうなのは、僕がアプローチするなら、京セラかな。トヨタに近いし。
ここまでくれば、ネット家電のリモコン機能などをつけるための交渉も、パナソニックあたりと進められるに違いない。


今後、間違いなく世界のインターネット・トラフィックの主戦場はモバイルになる。PCではない。
この市場を見逃す手はない。日本のケータイが優れているように見えるのは、キャリア主導の閉ざされた市場にのみ生息できる、特殊な仕様に守られているからだ。同じような環境を世界標準にするか、そこから脱するか、それ以外に世界で売る手はない。

残念ながら、日本人はそういう規格やルールや仕様を世界標準にするといった戦いは不得手だ。できる人はいるが、全体としては過去の歴史を見れば分かるように、とても及第点をもらえない民族だ。
しかし、欧米から押し付けられた”世界標準”に柔軟に自らを合わせて、その中で世界に通ずる優れた製品を生み出してきた。ソニーもトヨタもホンダも、世界標準に合わせることで世界企業になった。

日本のケータイは、相撲と同じだ。
相撲は文化だ、土俵の上でガッツポーズをするな、とうるさくいうわりに外国人力士に頼らざるを得ない。相撲は世界に広げることはできない。スポーツ競技としての相撲を広めようとすれば、結局柔道と同じように、参加者が増えた代償として、武道ではなくなり、カラーの道着を承認せざるを得なくなるし、レスリングまがいのテクニックの使用も認めざるを得なくなる。でも、それが進化なのだ。

日本のケータイの流儀を世界に輸出できないのなら、鎖国するか、それとも世界にうって出るしかない。いまは鎖国派の声が大きい状況で、ITの分野における日本はソフトでもネットサービスでもハードの面でも、世界の二流国になるしかない。

僕は日本人として、世界に売れるケータイを作るメーカーがでてくることを心から願っている。その手伝いもやりたいものだ。

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