テクノロジー企業の成長率ランキング「Fast50」が今年も発表。企業研究にも使えるか?
監査法人トーマツが毎年発表している国内のテクノロジー企業の成長率ランキング
「デロイト日本テクノロジー Fast50」が今年も発表されました。
テクノロジー企業の成長率ランキング「Fast50」、1位はgumiに
平たく言えばこのランキングは、
「売上が2年前と比較して何%伸びたか」を基準に、
成長率の高いテクノロジー系企業をランキング化しています。
<<第10回 デロイト トウシュ トーマツ リミテッド 日本テクノロジー Fast50ランキング>>
1位 株式会社gumi(未) /成長率:3950.2%
モバイルオンラインゲームの企画・開発・運営
2位 地盤ネット株式会社(未) /成長率:2013.8%
住宅地盤の高度再解析サービス「地盤セカンドオピニオン(R)」
3位 株式会社モブキャスト /成長率:898.1%
モバイルエンターテインメントプラットフォーム「mobcast」の運営
4位 株式会社UBIC /成長率:442.9%
リーガルテクノロジー関連事業(eディスカバリ事業他)
5位 株式会社エスキュービズム(未) /成長率:360.6%
EC・O2Oソリューション事業、「会社なび」就活支援事業等
6位 グリー株式会社 /成長率:360.2%
SNS「GREE」及びソーシャルゲームの開発・運営
7位 パスクリエイト株式会社(未) /成長率:336.3%
Webメディア、Webサービスの企画・開発・運営
8位 株式会社エイタロウソフト(未) /成長率:289.3%
モバイル及びWeb コンテンツの開発・運営
9位 株式会社エージェントゲート(未) /成長率:216.4%
アドテクノロジーを中心としたソリューション事業
10位 株式会社ドリコム/成長率:203.8%
ソーシャルゲームを始めとしたネットコンテンツの企画、運営
例えばこのランキング中で
「150%成長」した会社は、2年間で売上が2.5倍になったという事ですね。
今年1位になったのは、主にGREEでソーシャルゲームを提供しているgumi。
mobage陣営のgloopsと並んで、業界トップクラスの
SAP(ソーシャルアプリケーションプロバイダ)です。
(ちなみにgloopsは先日ネクソンに買収されましたね。)
【ランキングの基準について】
このランキング、応募資格欄には
「対象期間の1年目の売上高がUS$50,000以上である($1=80円の場合は、約400万円以上)」
という一文がありました。
「…ん?それ意外とハードル低くない?」
当然そう思いますよね。
40~50位の会社は成長率が40~60%程度なので、
極端に言えば対象期間の1年目売上が400万円・3年目の売上が600万円でも
ランクイン出来てしまう事になります。
そもそも2年で売上が1.5倍になっているベンチャーなんて
ぶっちゃけそんなに珍しいものではありません。
それで、基準を調べてわかったことがあるのですが、
どうも未上場企業の場合、外部監査を入れている企業だけが応募できるようです。
→* 未上場企業の場合の必要添付書類: 直近1年の外部の監査人による監査報告書のコピー、及び、直近3年の税務申告書または計算書類の売上箇所のコピーの2点。
http://www.tohmatsu.com/view/ja_JP/jp/industries/tmt/fast50/schedule/index.htm
普通、外部監査を入れる会社というのは
上場企業か、上場を目指している未上場企業のどちらかです。
つまり、上場を目指さない急成長中の未上場企業は
大体の場合、外部監査が入っていないため、応募資格がないということですね。
※イマイチ意味のわからない方は「上場目指していない会社や、まだ上場準備していない会社は対象外になっている」と思っておけば問題ないかと思います。
【企業研究には使えるか?】
さて今回は、こうしたランキングを就活での企業選びに使えるか?という話。
結論からいうと、このランキングは(そこそこ)使えます。
「売上の伸び」という非常に客観的な指標を元にしているので
少なくとも「人気企業ランキング」の類を参考にするよりは、ずっと良いでしょう。
しかし、いくつか注意すべき点もあります。
◎全てのテクノロジー系ベンチャーを網羅しているわけではなく、
前述のように外部監査を利用している一部企業のみが対象となっていること
参考:http://sakazuki.info/1411/
→上場企業はともかく、非上場企業については漏れが出てしまいます。
◎あくまで売上の伸びが基準であり、利益は基準になっていないということ
→極端に言えば、赤字まみれでもランクインできます。
◎売上の成長度が高くても、それ以上のペースで従業員(あるいは固定費)が
上がっている場合もあるということ
→たとえば売上が2年で2倍になっていても、従業員数が4倍になっていれば
1人あたりの生産性は落ちています。
【大事なのはランキングに出てこない基準】
決してランクインした企業さんに水を指すわけではありませんが、
単にこのランキングを見て「この会社は伸びてて儲かってるんだ」
と思うのは短絡的です。
「経済を動かしている」という意味で売上金額はもちろん重要ですが、
「どれだけの付加価値を生んでいるか」という意味で大事なのは粗利。
就活SWOTでも「売上ではなく粗利、さらに言えば1人あたりの粗利が重要」
という事をお伝えしていますが、
「社員1人あたりどれだけの価値を生んでいるのか」
というような情報を基準にしたランキングはなかなかありません。
ランキングはランキングで参考になる部分はありますが、
『ランキングに出てこない部分』にこそ目を向けて、
企業研究を深掘りしてもらえればと思います。
ちなみに最近、こうした就活にも役立ちそうな最新記事を
就活SWOTサイト上でも紹介しています。