保険会社を分けるメリットとデメリット1
いにしえの我国の慣習として、おそらくは20年ぐらい前までは「生命保険はひとつの会社で加入する」というのが大多数を占めていたと思われます。
それでも、がん保険などはアフラックなど外資系の保険会社しか扱いがなかったことにより、本体の死亡保障や特約の入院保障などは大手国内生保で加入して、がん保険は勤務先の会社を通してアフラックに加入するケースが多く、仕方なく保険会社を分けなければならないことはありました。
1996年の規制緩和から損害保険会社が生保に、生命保険会社が損保に子会社にて参入することが可能となり、乗り合い代理店、つまり複数の保険会社を取り扱う代理店の出現もあり <保険は一社だけに拘らず、各社のいいところを取ればいい>といういにしえの我国の慣習を覆すうねりとなりました。
「保険会社を分けるメリット」は、そのまま<各社のいいところを取れる>というのが第一ですが、その他にも実はいろいろあります。
まず「告知枠」の活用についてです。
各社死亡保障については、健康診査や面接士(医師ではないが、保険会社から派遣される第三者的な立場で被保険者と面接や非喫煙のエビデンスのためのコチニン検査など行う)まで及ばず、告知のみで加入できる枠があります。
大雑把な目安ですが、20歳代であると1000万円ぐらいで60歳代になると300万円ほどになります。(各社多少のズレがあります)
例えば、40歳代の自営業者の方が1000万円の死亡保障が必要になったとします。
一社専属であれば、告知枠は越えているので健康診査が必要となる場合でも、複数社を使えれば各社の告知枠が500万円であれば<A社500万円とB社500万円で併せて1000万円>と告知枠だけでご希望の保障額を確保できます。
忙しい自営業の方に平日の昼間の時間をくつっていただくのが大変なこともあり、単純に面倒くさくないと思われる方法になります。
また、こちらの方が実は重要になるかもしれませんが<健康診査のヤブヘビ回避>です。
概ね自営業者で40歳代であれば、かなりストレスがあり年齢的にもあちこちガタが来てもおかしくないお年頃です。
また、会社勤めではないので定期健診など受けていないケースが多く、自覚症状がなくても潜在的に何かあるかもしれません(多分何かあるでしょう)。
そんな方におしっこや血圧の検査、場合によっては心電図や血液検査などやってしまったらヤブヘビになっても知りませんよ、それなら手間なく(書類を2倍書くだけです)確実に1000万円の保障を確保しましょう、というのが<健康診査のヤブヘビ回避>です。
当然ですが、「最近胃が痛くて」とか「血圧を抑える薬を飲んでいる」などと被保険者が仰ったなら正直に告知しなければなりませんが、何もなければ告知者に「いいえ」以外何も書かなくていいわけです。
それとこれは対象となるケースが少ないと思われるのですが、最近流行りの「先進医療」の特約についてです。
保険適用外で行われる先進医療を利用する場合は、実費負担となり高額になるといわれています。
とりわけ、がんにおける先進医療について300万円程度の負担が必要になるとされておりますが、それが適用となるケースは極めて稀です。
しかし、先進医療特約の保険料は月100円前後なので「つけておけば安心」となりますので、最近の医療保険(がん保険を含む)加入ではほとんどデフォルトとなっています。
ただ、ここでも一社での制限があります。
例えばオリックスの医療保険キュアで先進医療特約を付加すると同社のがん保険ビリーブでは付加できません。
ここで、医療保険とがん保険を別々の会社で加入すればそれぞれに先進医療特約を付加できますので、万一がんになって先進医療を受ける場合はダブルで給付があるわけです。
と、いいことばかり書きました。
けれども、何事にもいいことがあれば悪いこともあります。
次回、デメリットも含めて続きを書きます。