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ヴィジュアル、サウンド、テキスト、コードの間を彷徨いながら、感じたこと考えたことを綴ります。

三陸産イカを、噛みしめる。

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古くからの、ゆるベジタリアンである。
偏食半分、環境問題半分、だ。
基本は、米と小麦と野菜で、ときどき卵や魚介類を食べ、稀に乳製品を使った菓子をいただく。ただし、四国人につき、うどんや蕎麦の出汁は魚である。
そんなだから、イカは、年に数回食べる程度である。

が、過日、近所のスーパーのチラシに、「三陸産イカ唐揚げ」の文字。
買ってしまった。

なぜか?

三陸産である。
チラシに載っていたのだから、地震発生前に仕入れたものである。
ひょっとしたら、このイカは、漁師さんの最後の仕事になってやしないだろうか。
と考えると、どうしても、食べたいと思ったのだ。

人間には何度か、あのとき食べていれば、と、思う味がある。
あのとき食べさせてあげたかった、という味もある。

このイカをとった漁師さんは避難できただろうか。
無事であってほしい。
そうして、また、元の姿をとり戻した海へ、船を出すことが叶うよう、願う。

心の中で泣きながら、イカを噛みしめた。

人は忘れやすい生き物だ。
すぐに忘れて、戦い始めたり、傷つけたりする。
支援以外に、我々がしなければならないことは、「忘れないこと」である。

もし三陸産の文字を見かけたら、その味とともに、天災と対峙している人々のことを、記憶に焼き付けよう。

味の記憶は、たしかである。

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