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コミュニケーションにおける共有知識モデルについて、デザインの観点から考えていきます

すばやく思い出すやり方

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いろいろな本を読みますが、印象に残った部分をどう記憶に残すかは、非常に大きな問題です。最初は本を汚したくないので付箋を貼って後で読みかえす、また資料としてまとめることをやってみましたが、読み返さなければ頭の中にイメージとしての全体像が思い浮かばないわけです。そのうち、付箋および資料まとめをあきらめ、思い切って重要な部分には蛍光ペンでセンを引くなどとやってみたものの、結局は、みんな忘れてしまうンですね。当然のことながら、思い出すこともできません。

Photo_196 すでに忘れてしまったことを、どうすれば鮮明に思い出すことができるのか。この問題を解決するのが、「一覧性」というまとめ方です。対象となるものが「一覧性」のあるものであれば、素早い認識とともにその全体像をイメージとして記憶する(つまり思い出す)ことが可能となります。

「地図」は一覧性を代表するいい例です。ジョルジュ・ジャン*1によれば、「地図の作成者は単に的確な写実的内容を伝えるだけでなく、読み手の潜在的意識を刺激すべく視覚的イメージについても、十分な意図をもってデザインしているということである。」、さらに「地図を読む際には、読み手の目的によりその主体が変わってくる。たとえば急いでいるドライバーであれば、目的地やそこまでの距離や障害だけを読み取る。」と述べています。

前者は、<作成者>の意識であり、後者は<読み手>の意識ですね。

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この図は、P.コトラーの「購買への影響要因」をまとめた(1999年作)ものです。当時の書き手のわたしは、未来のわたしにその内容を伝言すべく、これをまとめていますが、案の定、この後、徐々に本内容の記憶は薄れていったことは、言うまでもありません。

この部分を再度見直すときには、「コトラー、マーケティング、購買心理」などのキーワードから本図を引き出すことができるので、全体を見回すことにより、いつでも自分の脳内のメモリ上に展開することが可能なわけです。

「一覧性」により、対象をイメージとしてとらえることは感覚的であり、時間的経過から若干の誤理解があるかもしれないですが、すばやく「思い出す」ことにおおいに役に立ちます。つまり、対象を忘れる際には、「一覧性」を高め「わかる」、ということが重要なンですね。

*1ジョルジュ・ジャン「記号の歴史」-矢島文夫監修-(創元社:1994)

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