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コミュニケーションにおける共有知識モデルについて、デザインの観点から考えていきます

店が客を選ぶ日

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正月明けの1月4日の休みの日、知人のM氏より
「たまには昼飯も兼ね、蕎麦やで一杯やりませんか」との誘いがありました。
居酒屋のそれとは異なり、昼間の蕎麦やで海苔を肴に酒を呑むのは、なかなか粋なものです。
地元の蕎麦やをグーグルで見つけ、早速、出かけることにしました。

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さほど広くはない店内は、一見さんよりも常連さんの方が多いようです。
しかし、昼間なので酒を呑む客はいなかったですね。
蕎麦は、ソバの実を自前で製粉するこだわりの逸品らしく、
蕎麦の味を分からない人には、食べてもらいたくない、そのような主張が聞こえる蕎麦やでした。
ほどよく呑んでいると、突然、店員がやってきて、聞いてきました。

「蕎麦にしましょうか?」

「客の注文を先取りするなヨ。」と、ふたりは内心腹を立てながらも、
友人はメニューの二番目の「ざる蕎麦」、 私は三番目の「とろろ蕎麦」を注文。
すると、店員、間髪を入れずたずねてきたのです。

「無料で大盛りにできますが、どうしますか?」

「無料」という言葉の響きは、こころを惑わせる。即座に、大盛りをお願いしたのはいうまでもありません。
注文してから、改めて回りの常連さんを見ると、海老天が飛び出した大きな器を前に、談笑しています。
「やっぱり、常連さんは、いいものを食べるンだナー」。ふと、そのように思いました。

少し時間がかかりそうなので、メニューを再度眺めていたところ、
そのメニューに、若干の違和感があることに気がつきました。

    ・ もり蕎麦  ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 630円
    ・ ざる蕎麦 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 630円
    ・ とろろ蕎麦 ・・・・・・・・・・・・・・・ 630円
    ・ 辛味大根蕎麦 ・・・・・・・・・・・・ 630円 
    ・ えび天蕎麦 ・・・・・・・・・・・・・・・ 630円 
    ・ えび天とろろ蕎麦 ・・・・・・・・・・ 630円
    ・ 気まぐれ蕎麦 ・・・・・・・・・・・・・・・ 時価
    ・ 才巻き海老天蕎麦 ・・・・・・・ 1,570円

上から6種類の蕎麦の値段が、すべて同じなのです。
プラスアルファがあっても無くても、値段は同じ、ということはどういうことなのでしょうか。
それに、蕎麦やで「時価」というのも珍しいですね。

さて、「630円」払うとすれば、みなさん、どの蕎麦を注文しますか?
また、大盛りが無料とのことであれば、大盛りにしますか?
同一の価格設定の理由を、この店の主人には、まだ聞いてはいません。

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主人のふたつの質問が印象的でした。
①たいして呑んでいないのに「蕎麦にしましょうか?」という質問。
②「大盛りは無料ですが、どうしますか?」という質問。
どうやら、我々は「招からざる客」だったようです。

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