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コミュニケーションにおける共有知識モデルについて、デザインの観点から考えていきます

リスクの語源

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ある雑誌*に 「リスクとは、『勇気を持って挑戦する』 というイタリア語が語源だ。」と書かれていました。

通常、「risk management:危機管理」、「risk analysis:危機分析」、「take risks:危険を冒す」と
いったように、「それにはリスク(=危険)が伴うからよく考えろ」のように使うこともしばしば。
故に、事に遭遇しそうになると、その「危険」から回避する行動を起こしてしまうわけですね。

語源からすれば、「谷があるから周り込んだ方が安全だ」という「危機回避」的行動よりも、
「そこにどのようにして橋を架けるか」のような「課題解決」的行動をする、
と考える方が妥当であるように思えます。

英語には、自己の意思であることを暗示させる自動詞的な単語①と、
自己の意思に関係なく回りの環境に動かされる他動詞的な単語②がありますが、
たとえば「私は彼を助けなければならない」という日本語の文章には、
意思の存在がどうもみえにくいです。
日本語は、この曖昧さが特質なのかもしれません。

「しなければならない」に該当する英単語には、①mustと②have toがありますが、
英語を使うときには、「自己の意思でやる」のか、「環境がそうさせる」のか、
ということを使い分ける必要性があるかないかは、文化の違いなのでしょうか。

フェアウェイにボールは落ちたが、
目の前には、大きな松の木。
越えれば、間違いなく、グリーンにオンする・・・・・・・。

「Take a Risk」とは言いますが、「Take a Danger」という言い方は聞いたことがありません。
「勇気を持って挑戦する」(すなわち冒険)とは、
自己の意思を込めた、絶妙な訳し回しといえます。

*ピーター・バーンスタイン(エピックワールド2005spring/No48<野田一夫>)

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