出版メディア業界のお手本，ナショナル・ジオグラフィックのソーシャルメディア活用事例
1888年10月に第一号が出版されたナショナル・ジオ・グラフィックは，創刊120年を超え，世界で最も良く知られている雑誌の一つに数えられるまでになった。
日本語版は日経ナショナル ジオグラフィック社が出版元となり1995年されている。それ以外にも20ヶ国を超える言語に翻訳されており，世界で900万部以上販売されているベストセラー雑誌だ。
当記事では，出版，メディア業界の活用事例として，このナショナル・グラフィックのソーシャルメディア活用を事例として取り上げたい。特に彼らのiPad活用は，これからの雑誌の方向性を示唆しているものとして注目される。
■ 自社メディア （リンク）
ナショナル・ジオグラフィックのホームページはハイクオリティなコンテンツが満載だ。雑誌関連や写真，動画はもちろんのこと，ブログ，ゲーム（有料オンラインゲームが販売されている），音楽，世界地図など実に多様なサイトとなっている。また自社商品を扱うコマースもあり，いたれりつくせりの感がある。
このサイトではユーザーと交流できるフォーラムも用意されており，テレビ番組やコンテンツ，環境問題などあらゆるトピックが議論されている。
特長的なのはオリジナルのウィジェットだ。写真をベースにしたパズルや編集長が選んだ写真を12枚楽しめる"THE DAILY DOZEN"など。中でも専属カメラマンがおさめた美しい写真を日々楽しむことができる"Photo of the Day"が人気を集めている。2007年12月のローンチから3900万回閲覧されており，インス
トール数も30万回を超，そのうち50%はGoogleから，そして37%はFacebookからの流入とのこと。そしてナショナルジオグラフィック動画の86%は自社サイト外のウィジェットを通じて閲覧されている。
■ Facebook (リンク)
Facebookのファン数は約100万人。ユーザとの対話はWall（掲示板）で行われており，ほぼ毎日更新されている。1つのコンテンツに対して平均して1,000以上のLikeがつくなど，ロイヤリティの高いファンが多いことがわかる。
■ Youtube （リンク）
コンテンツ動画数はかなり多いが，うまく整理整頓されている。数日に1本，新しい動画がアップロードされている。チャンネル登録者数は275千人，動画再生回数は3.3億回を超えている。プレイリストでカテゴリ分けでき，購読したいプレイリストを閲覧することも可能だ。人気プレイリストはYouTube'の"Most Popular"なリストにもランクインしている。
■ MySpace （リンク）
ラテンアメリカの若者に対するブランド認知度向上を目的としたMySpace Brazilとのタイアップ・キャンペーン"YOUR MUSIC ALSO COUNTS"が実施された。内容は"GREEN MUSIC"広くラテンアメリカに求めたもので，結果として11,500曲が集まり，曲を聞いたり好きな曲に投票したユーザは83,000人と認知度向上に成功している。
■ Twitter （リンク）
フォロワーは18万人超。新しい写真やコンテンツをお知らせするメディアとして活用されている。ただし情報発信がほとんどで，ユーザとの対話は行われていないようだ。
■ Flickr （リンク）
メンバー数は5,400人と他のソーシャルメディアと比較してそれほど多くないが，投稿されている写真の数は8万点近くにも及んでおり，かなり充実している。ユーザーによるディスカッションもさかんのようだ。
■ iPhone
ナショナル・ジオグラフィックはiPhone/iPadも非常に積極的に活用している。iTunes Storeで見ると，iPhoneアプリ，Podcast，音楽アルバム，オーディオブック，さらには新設されたiTune U（大学教材）まで多数あり，品ぞろいの豊富さに驚かさせる。
中でも人気は，世界地図「World Atlas for iPhone」だ。価格は230円と低価格だが，世界中の地図をブラウズ，ズーム，検索できる。マイクロソフトとの提携でBing mapsも閲覧できるため自宅までチェック可能だ。また好きな場所をブックマークしたり，写真を場所にひもづけてアップすることも可能なため，位置情報を活かした世界旅行のお供として最適だ。
■ iPad
最後はiPadを紹介しよう。前述した「World Atras」もすでに同額の230円でiPad向けに販売されているが，なんといっても「National Geographic for iPad」が凄い。
紙版のコンテンツに加え，iPadのために追加されたフォトギャラリーや写真家のプロフィール動画など，インタラクティブな見所満載だ。料金は年間購読（12冊）で79%オフの15ドル（リンク），これならiPad雑誌は結構売れるのではないだろうか。
【翻訳協力】
当記事は，噂のTechDoll，三橋ゆか里さん（プロフィール）に翻訳等でご協力いただいています。
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