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2010年,Facebook大爆発 - ガートナー最新予測より

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米国ガートナー社から2010年以降の10大予測が年末に発表された。

「Gartner's Top Predictions for IT Organizations and Users, 2010 and Beyond: A New Balance」

10大予測の構成は以下の通り。

  1. What You Need to Know
  2. Selecting Predictions
  3. IT Ownership
  4. Cloud Computing
  5. Social Computing
  6. Sustainability (Green IT)
  7. Internet Marketing
  8. Mobile Commerce
  9. Context Aware Computing
  10. User Devices

当記事においては,特にSocial Computingをピックアップしたい。ちなみに5章は,Social Computingとのタイトルながら多くはFacebookに関する記述であり,2009年一年間でいかにFacebookのプレゼンスが急拡大したかを物語っている。(一部筆者による意訳があります。より正確に内容を知るために,上記サイトを参照されることをお奨めします)

 
■ Social Computing 2010 - Strategic Planning Assumption

2012年までにFacebookはソーシャル・ネットワーク(以下SNSと略)やウェブ・ソーシャル化のハブとなるだろう。

 
■ Social Computing 2010 - Key Findings

2009年11月,Facebookは3.5億人のアクティブユーザーを持つ世界最大のSNSとなった。この勢いで成長すればFacebookユーザーは2011年までに10億人を超え,そのうち70%は米国外となる(筆者コメント:ということは米国は3億人,ほぼ100%に浸透?)だろう。また平均的ユーザーは130人の友人を持つだろう。

中でも最速で成長するのはモバイルだ。現在65百万人がモバイルからアクセスしている。多くの携帯キャリアや携帯メーカーはFacebookに対応しようとしており,今後はさらに携帯アプリとFacebookの統合化がすすむだろう。(例えばPalmPreでは写真やコンタクトリストが統合されている)

Facebookはアプリケーション・プラットフォームでもあり,Facebook Connectを利用すると一般サイトもソーシャル化される。例えばコンテンツ共有や招待,コミュニティイベント参加など。すでに15000ものサイト/デバイス/アプリがFacebook Connectを利用しており,350000アプリがFacebook上で稼動している。そしてそこには100万人以上の開発者が存在している。

他サイトやアプリ経由でFacebook上でコンテンツ共有するユーザーが増加しており,35億ものコンテンツ(リンク,ブログ,写真等)が毎週シェアされている。

リーディングSNS(Facebook, Myspace, Twitter等)は無料であり,広告が主たる収益源(筆者:Twitterは異なるが)のため,それらのバリューはユーザートラフィック量とリンクしている。これらの競争は,異なるSNS間におけるコンテンツ共有のニーズを高めるもので,その潜在的ニーズは大きい。ただしFacebookは他のSNSをユーザー数で圧倒している。(Myspace:2.6億人,Twitter:0.5億人)

Facebookはプライバシー方針を見直し,地域ネットワーク(ユーザーを居住地によってグループ化する)を廃止し,より高次元のプライバシー管理を提供しようとしている。

 
■ Social Computing 2010 - Market Implications

Facebook Connectと他の類似メカニズムによって,Facebookは相互利用可能なソーシャルウェブを開発する上でのリーダー的役割を果たすようになるだろう。

Facebookへ参加するメンバーが増えるに従い,その相互交流と共有コンテンツも増加していく。Facebookがこのまま成長すると,この相互運用性が他のSNS,コミュニケーションチャネル,メディアサイトの生き残りにとって決定的に重要なファクターとなってくるだろう。

ユーザーとプラットフォームメカニズムのネットワーク外部性(ユーザーが増えるほどユーザーの利便性が増加する特性)により,Facebookの寡占度は増してゆくだろう。そして2012年までに,Facebookは他SNS,ソーシャルウェブ,ソーシャルアプリのハブとなるだろう。Twitterを含む他のSNSは他の適用分野や専門性を開拓し続けるが,Facebookはそれらのセンターハブとなるだろう。ただし,いくつかのSNS(例えば中国のQQ,Xboxライブ等)からは抵抗を受けるだろう。

ユーザーによるプライバシー管理の制限は引き続きFacebookのチャレンジとなるだろう。そして他サイトやSNSとの結合が進むとさらに困難になってくるだろう。

SNSユーザーはプライバシー保護のために費やす時間を増やさざるを得なくなり,そのためのサービスやツールが出現するだろう。そしてそれらは複数SNSやサイトのプライバシーやセキュリティを横断して統合管理できるものになるだろう。

Facebookのハプ化における競争相手は,インドやブラジルのOrkut,ロシアのV Kontakte,日本のmixi,中国のQQなどだ。特に中国語で中国サイトを利用するユーザー数は2012年にはFacebookユーザー数を凌ぐだろう。そこには2つのシナリオがある。中国がWalled Garden(塀で囲まれた庭)となる場合,この予測は中国以外に適用される。もし中国がオープン化すればQQはFacebookとハブの地位を巡って争うだろう。しかし現在,中国サイトは言葉や文化の壁によりインターナショナル化を全くしておらず,そのため後者のシナリオは現時点ではありそうもない。

 
■ Social Computing 2010 - Recommendations

Facebookを貴社のB2C戦略に大いに活用したい。広告,コミュニケーション,需要喚起,マーケティング,顧客サポート等に活かすための戦略を計画すべきだ。

・ Facebookのactive pageやinterest groupsに参加する
・ PCないしモバイルで,Facebookアプリを開発する
・ 自社サイトをFacebookと連係させ(Facebook Connect)ソーシャル化する
・ 現在は有効な効果測定やリスク評価ツールはあまりない(筆者:2010年の重要テーマだ)
・ FacebookがSNSハブとしての役割を持つことを想定して,今後のサイトやアプリをデザインする

 

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