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「一住居=一家族」の時代は終わる

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最近、シェアハウスが人気になるとともに、そのタイプも農園付き、シングルマザー専用、ツリーハウス作ったり、メディアとして捉えているシェアハウスなど様々に増えています。雑誌「ブルータス」でも特集が組まれたり、若い世代は読んでいてわくわくした人も多いのではないでしょうか?

一方、40代以上の世代からすると、シェアハウスって何だ?昔ながらの寮や狭い部屋に何人も住むようなことか?といまいち理解できない人も多いと思います。例えば、僕が住んでいたソーシャルアパートメント恵比寿は、地下に大きなリビングがあり、料理スペースは業務用の冷蔵庫やキッチン、椅子や机はカリモクを使い、パーティーをしたら5−60名集まることも可能なシェアハウスです。屋上も広くてバーベキューができ、春には目の前の公園の桜が満開。共有スペースやゴミは掃除の方がほとんど毎日来てくれるというとても快適な環境でした。自分の部屋は個室があるものの、5−6帖くらいの狭いスペースで、トイレもシャワーも洗濯機も乾燥機も共有です。

Saebisu


戦後復興モデルとしての「一住居=一家族」

家探しをするとき場所や価格は勿論ですが、●DKや●LDKなど間取りを考えます。それに疑問を感じることはこれまでありませんでした。でもシェアハウスの間取りってよく考えると何でしょう?共有スペースという概念、むしろ共有スペースがメインの間取り。プライバシーやセキュリティという個室的な考えよりも、そこにどんな面白い人が住んでいるか?新しく入ってくるのはどんな人か?という興味や魅力。そっちの方がシェアハウスでは大切です。僕が住んでいた時は、コロンビア大使館で働く女性や、ジャニーズの音楽プロデューサーをしているアメリカ人、ベンチャー経営者からベンチャーキャピタリスト、クリエイターや社会人1年目までほんとに多様な面白い人たちが集まってました。朝起きたら、「おはよう」とリビングで朝食で顔をあわし、帰ったら「おかえり」と、お酒を共に飲む。大きな家族や仲間を得られたような感覚です。

ではなぜ●DKというのが当たり前だったのか?戦前はいわゆる長屋で住むような地域のつながりや助け合いあるのが普通だったと思います。それが、戦後日本が復興するためにパッケージ化され効率良く広げていくために必要なシステムだったそうです。専業主婦と核家族化、マイホームを持つということ。住宅政策が経済政策として捉えられ、高度経済成長を支えるとともに広がったと、山本理顕氏の書籍「地域社会圏主義」という書籍で紹介されています。

さて、この「地域社会圏主義」、とんでもなく、面白い書籍です。ここ10日ほどで3人の人から面白いと薦められた書籍で、そんな短期間にかつ情報感度の高い人たちからの推薦は、これまでにありませんでした。少しその魅力を紹介したいと思います。


地域社会圏:500人で1つの単位を考える

今、高度経済成長期も過ぎて、都会ではシェアハウスが広がっているとは言え、独身者が非常に多く、高齢化社会に伴って1人暮らしの老人も増えていきます。また離婚率の上昇や女性の社会進出も高まり結婚していない30代以上やシングルマザーも増えています。そんな状況の中で、●DKモデルや「1住居=1家族」モデルのマイホームを持つことも、今の時代に合っていません。

山本理顕氏は、「地域社会圏主義」で、住む単位を500人で1つと捉えてはどうか?と提案し、それを地域社会圏と呼んでいます。

500人で1つの単位。そこには家族はもちろん、学生や一人暮らしの男女、老人から子供、外国人まで多様な人が住みます。銭湯・spa、ランドリーやキッチンのような共有スペースに加え、保育スペースや介護スペース、スポーツができるようなスペースもあります。また、自然エネルギーによる効率的なエネルギーシェアから、エリア内は自動車が通れず、コミュニティビークルという老人も乗れる電気自動車が安全・便利・安価に使えます。フリーマーケットや料理を作ったり、掃除や保育の仕事をエリア内ですることで、地域通貨を稼ぐこともでき、テキーラバーのようなお店を開業することもできます。

僕が住んでいたシェアハウスは36部屋でしたが、今のシェアハウスは大きくても100人未満がほとんど。若者向けが多く、家族型や老人が住めるシェアハウスは多くはありません。しかし、この地域社会圏ではちょうど良いサイズ、その人数だからできることが多く、ほんとに実現できると良いなと思いました。

この書籍は、インフォグラフィックで非常に分かりやすく紹介されていたり、図面やイメージ図のイラストも多用されていてどんな未来か想像しやすく、とてもわくわくします。今年一番のお薦め書籍です。


シェアするためにマイホームを購入する〜miraie構想〜

僕自身、現在は結婚して11ヶ月の娘もいますが、2LDKのマンションでシェアハウスをしています。子供がまだ小さいので一部屋を友人に貸し出し、またその部屋も半月分の家賃を頂き、残り半月はノマド生活をしている友人たちにゲストハウスとして貸し出してます。未婚で子供がいない友人たちにとってうちで手料理を食べることや、子供と触れ合い成長をともに見ること、僕らとしても家族で閉じるのではなく、シェアハウスとしてのつながりやノマド生活や社会起業家として活躍する友人たちの話を聞くのはとても刺激的で楽しいです。

今年は、今後子供も大きくなることも考え、一軒家を購入する予定です。ただし、これまでの一住居=一家族のマイホームではなく、一住居=複数家族のシェアハウス。1Fには20畳ほどのリビングキッチン。シャワー、トイレは共有で、2Fは3部屋のシェアハウス用フロア、3Fが自分たち家族向けと、子供が1人で小さいうちは、ゲストハウスを一部屋。屋上も作る予定です。1Fにはシアター用のスペースや、フューチャーセンターのようなブレストやワークショップができるような20人くらい入れるリビングと、食事をみんなで楽しく作りやすいようにキッチンスーペースを充実させる。太陽光発電で循環型エネルギーにしたいと思ってます。

家賃も光熱費込みで8万〜9万ほど、そうするとローンが20万くらいなので、きちんとうまると実質僕らの家賃は発生しないくらいの計画です。その分早めに返済すれば資産になるし、JR山手線の徒歩10分圏内に土地を買うので、少子化とはいえ利便性の高い都心部では土地の値下がりリスクは高くはありません。

何年かしたら売却もあるかもしれないですが、シェアハウスとして上手くいくと、管理者を募集して僕たちは違う土地で生活することもできるかもしれません。そんな未来の家と考えて=miraieと名付けて生活します。

miraieが上手くいくかどうは別として、どちらにしろ、今後一住居=一家族という常識は当たり前ではなくなっていくことだと思います。


参考情報




 

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