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『社長失格』の板倉雄一郎氏、社名をSynergy Driveに改め新サービスVoicelink発表

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本日、汐留のホテルで新サービスの発表会がありました。

熱い発表会でした。ビットバレーの頃からのネットベンチャーで働いていたなら誰しも読んだことのある『社長失格』。これぞベンチャービジネスの成功と失敗として、今でも強烈に印象に残っています。倒産した「株式会社ハイパーネット」の社長、板倉雄一郎氏、副社長でその後、iモードを世に送り出した夏野剛氏、融資担当していた住友銀行の元支店長で、今は楽天の副社長の國重惇史氏。そんな日本のインターネット業界に影響を与えた会社の元社長が、40代後半にして再びネット業界に新サービスを引っ提げて戻ってきました。


板倉氏は、社名をSynergy Driveに改め、本気で挑戦されるようです。会社の運営形態も非常に興味深く、ハイパーネットでの失敗を繰り返さないと断言されていました。その会社は、何と従業員はゼロ。給与も払っていない。オフィスすらない。コンセプト、サービスに共感した人たちが集い、今まさにホテルのスウィートルームに泊まり込みで夜通し開発しているという。このサービスは短期間で作ってるそうです。思いついたのは311後の5月。時間軸が普通じゃないスピードで進んでいるとのこと。


世界に向けて、日本発のサービスを提供する。世界400言語全てに対応。新サービスの名称は「Voicelink」。そう、音声に特化した広義のSNSサービス。徹底的に音声に特化することで、多言語対応するテキストがないサービスを実現。音声なので世界中どこからでもどの言語でも使えるサービス。ということです。


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■Voicelinkのサービス概要


ソーシャル時代の通話


「Voicelink」は、音声に特化したいわば電話会議サービスです。なぜ音声かというと、テキストは誤解を生むから。ツイッターや匿名のコミュニティサイトだと、面と向かって、または声に出しては言わないけれども、文字だと酷いことを書く人が多い。そして、テキストだと高齢者は文字が見難いし、使いこなすのも難しい。Facebookやtwitterでできないことを、音声に特化することで、「Voicelink」が実現する。


ただし、普通の電話会議サービスを今更リリースするわけではありません。


6人まで同時通話が可能で、オーナーがルームを作成することができます。さらに登録したゲストユーザーが視聴できます。発言するにはpaypal課金の登録が必須となります。登録したゲストユーザーは、視聴するだけでなく、通話に参加したいと意思表示すれば、オーナーが会話に参加させることができます。そして気になる利用料金は月額300円のみです。


C to Bの放送局サービス


さらに、聞くだけなら登録も必要なく無料で視聴できるwebサービスなのです。つまり、複数人で会話するだけでなく、ルームを公開すれば、複数人で音声の不特定多数に向けた放送局を作ることもできるのです。


リスナーは会話はできないものの、話してる内容に、いいね!をクリックできます。Facebookでは、映像や音声のURLいいね!をできても、話の一部分を切り取っていいね!はできない。「Voicelink」では、その話が良いと思ったら、そこでいいね!をクリックできるのです。もちろんそれは、話している人にも、視聴している人にも伝わります。


ルーム毎にURLがあり、Facebookとtwitterでルームを作成したことを簡単に紹介することできます。「Voicelink」を知らなくても、フォロワーの多い人が紹介すれば、タイムラインを見て登録なしに、WEBから簡単にリスナーになれます。サービスのイメージは朝まで生テレビだそうです。例えば、オーナーとなる司会者が田原総一郎で、ゲストがホリエモンや板倉雄一郎や津田大介。そして、視聴者が見ながらつぶやく。それが、「Voicelink」で、「今のホリエモンの話いいね!」ってクリックできる。場合によっては、登録したゲストとして東浩紀が途中参加して会話に入る。彼らがそれぞれtwitterでそのルームを紹介すれば、リスナーはがっと増える。そんなイメージが浮かびます。


テレビと違って、彼らは放送局に集まる必要がない。そして、顔も服装も見せる必要もない。すぐに、そして簡単に朝生を実現することができるのです。


ビジネスでの利用も


そして、出店機能というサービスを実装する予定で、オーナーが有料のルームを作ることができます。課金手数料は30%。有名人が有料の放送局を開くこともできれば、語学レッスンとして課金ルームを作ることもできます。株式投資やビジネス講座や経済ニュースを紹介する番組を有料で開くこともできるでしょう。

語学サービスをVoicelinkで展開する場合、最近はskypeでも流行ってるけれど、skypeよりも使いやすい。ゲストに一部公開することもできるし、課金もできます。世界中の言語を日本にいながら学ぶことも不可能ではないし、所得の低い国の人が先進国向けにサービスを開始すれば、それなりの稼ぎにもなります。学ぶ側も低価格で、ネイティブの人から直接学べると、語学の上達スピードもも早くなる。


また、有料ルームにしなくとも、でクローズドの部屋も作れます。つまり、ビジネス用途で6人までの電話会議もできるし、聞くだけ参加もできます。録音もできる予定で、録音した内容を、ソーシャルメディアで紹介したり、ブログに貼り付け、それにいいね!もできるのです。


Communication Operating System(COS)


VoicelinkはWEBサービスですが、UIがまた非常にユニークでした。そもそも多言語での利用を想定しているため、テキストでのメニューを想定していない。見ればわかるシンプルな作りが必要で、一歩先を行くUIが必要だったとのこと。そこで生み出したのが、Communication Operating System(COS)という概念。まるでOSのようにWEBのUIを実現するというので、確かに見た目もMacOSのような直感型WEB。一画面で操作できるようになっています。これはもう文章では表現できないので、公開されたらぜひ直接見て下さい。


クローズドβは11月30日開始

気になるリリースは、クローズドβが11月30日。日本政策学校の授業で使うのと、フォロワーの多い人政治家たちが利用開始予定とのこと。そして発表会に参加した人も利用可能になるとのことで、連絡がきたら使ってみたいと思います。登録の必要のないゲストリスナーとしては、1ルームに付き1000名まで視聴可能になるそうです。


ただし、スマホ対応はまだとのこと。まだバグもあるし完成していないので安定してからリリースするようです。位置情報と連動し、近くで話しているルームを探すことや、ハッシュタグのようなものも使えるそうです。Voicelinkは、311後に考えたサービスで、高齢者から被災地で困っている人にまで使ってもらえる役に立つサービスを目指しているとのこと。確かに、途上国でもこのサービスは活用できるかもしれません。今後、APIも公開予定だそうです。


海外展開


板倉氏は言います。マーケットリサーチから生まれるものはリスクは低くなるが、ニーズの寄せ集めになる。ジョブズは自分の作りたいものを作る。リサーチをしない。最高にわがまま。自分もやりたいことをやる。そのコンセプトに共感できる人とだけ、形にできる人とだけ仕事をする。と。

海外にはどうやって広めるのか?それは、その言語毎のホリエモンを探せと言ってるそうです。影響力のあるその人に使ってもらう。宣伝するようなサービスは必要ない。広く使ってもらうために強制的に宣伝するのではなく、影響力のある使いたいと思ってもらう人に使ってもらえばいい。そして、その結果広まる。企業と提携して広めるものでもない。FacebookやtwitterのCMを見たことはないし、無理やり広めたいとも思わないと言う。


■社長失格から社長復活へ


発表会の最後の質問で、板倉氏のことを社長復活と表現されていた方がいました。そして板倉氏も言いました。一度事業に失敗し、今はリスクも取らず本当は死ぬまで生活できるくらいのお金はある状態。けれども昨年実は強めのうつになってしまったと告白。そして、311を経て自分は何をしているのかと、再度起業することを選んだと言う。


40代も後半になって事業に失敗した人間が、もう一度今度は世界に向けて挑戦する。相当の覚悟を持っている。次に失敗したら、また板倉がホラ吹いたと言われるのはわかっている。それでも、ここで大成功したら、事業に失敗した人でも、日本でも再チャレンジしようと思う人が増えるかもしれない。1億や10億のビジネスをしようとは思わない。100億以上のイメージを描かないと、実現できないことがある。


このサービスにVCは必要ない。お金はいらない。身の丈にあった成長を続ける。宣伝もしない。1兆円で買うというなら考える。skypeは8000万人で8000億円。無茶な金額ではなく、Voicelinkは1億人は使うと考えてる。


そう言って、ハイパーネットで失敗したことを繰り返さないよう、新しい時代の組織を作り、古い技術の組み合わせではあるものの、新しいコンセプトで世界に打ってチャレンジする。どうなるかはわかりませんが、そんなチャレンジする板倉氏はじめ関係者、そして「Voicelink」を応援したいと思います。

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(追記)急いで書いたため、誤字脱字が多く失礼しました。気づいたところ修正しました。


 

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