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従業員を大切にする会社は社内コミュニケーションが活性化する

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インターネットを使わなくても、社内コミュニケーションが上手くいってる会社はたくさんだあります。総じてその会社は、従業員を大切にしているのではないでしょうか?

先日ある人事向けセミナーに参加し、ソフィア・バンク副代表の藤沢久美さんの講演を聞いてきました。藤沢久美さんは、田坂広志さんとともに社会起業家の支援や、NHK教育テレビの「21世紀ビジネス塾」のメインキャスターを務めるなど、社会・経営をテーマに、そしてご自身の専門である金融を強みに様々な経営者へのインタビューや取組みされています。

講演の中では、ユニークな企業・経営の紹介をされていましたが、中でも北海道の六花亭の話が印象的でした。


■六花亭の愛のある経営 ~嫁にするなら六花亭~


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六花亭には人事部がありません。全て社長が人事を決めています。前社長は父親でいわゆる同族経営です。と聞くと、トップダウンの強権的な経営に思えるかもしれませんが、その真逆の経営をされています。

同社の小田社長は、2009年の新入社員に「これから六花亭は成長しません」と言ったそうです。IT業界の私たちからすると本当に驚きの一言です。経営の第一目標を「成長」に置かず、まず顧客満足と、従業員にも楽しく働いてもらうことが重要だとおっしゃられています。

小田社長が人事を担当されているのも、従業員のことを良く分かっているからです。

1300人もいる従業員から、「一人一日一情報」というプライベートなことでもいいので、日報を毎日書いてもらっているそうです。強制でもないのに、毎日600~700もの日報が小田社長の元に届き、なんと毎日全部読まれています。さらに、約100名をピックアップした上でコメントを添えて、翌日社内報として日刊社内新聞『六輪』を毎日欠かさず発行されています。

取り組み自体はシンプルですが、本当に従業員のことが好きで信じていなければできません。毎日見てくれるから、多くの日報が集まるのだと思います。従業員教育も優れており、お客様に愛される会社として顧客志向が高く、地元では「嫁にするなら六花亭」と呼ばれるほどのサービス精神のある接客をされているそうです。

ほぼ日刊糸井新聞のインタビュー【リンク:http://www.1101.com/oshigoto/rokkatei/index.html】にも紹介されていますが、小田社長の人柄が伝わってくるとともに、「ブランド・ジャパン2009」という調査で、心酔ポイントというファンからの愛され度合は、全国12位という。


■従業員を信じ、大切にすることが社内SNSの成功の可否を握る


社内SNSがなくとも、六花亭のような従業員を大切にする会社は社内コミュニケーションは活性化し、顧客からも愛されています。他にも日本では未来工業や、伊那食品工業、海外ではZappos(ザッポス)など従業員を大切にしている会社は、社風もいいだろうし、ザッポスの場合、ツイッターやFacebookなどソーシャルメディアの活用も非常に成功しています。

藤沢久美さんも、日報を書くことと、社内ブログや社内SNSでコミュニケーションを取ること薦めておられていましたが、一人ひとりから手書きやメールで日報を集め、社内報を毎日作るのは大変ですが、社内SNSを上手に活用することで、六花亭のような取組みを始めることが可能です。

ただ、大切なのは従業員を大切にするという気持ち。日報にコメントを書いたり、見ている人がいないと、交流は生まれません。私たちの会社も社内SNSを提供しているからと言って、上手くいっているわけではありません。社内で、毎朝朝礼をしたり、土曜日に集まって全体で会議をしたり、年に2回合宿をしたり、アナログなことも大切にしていますし、日々のコミュニケーションが上手くいっていないと、社内SNSも上手くいきません。

また藤沢久美さんは、言いました。「自分が満たされていない人は、人を満たすことはできない。」人に周りのことを考えたり配慮するように言う前に、まずは自分自身を見直すこと。その上で、自分が相手を満たす努力をすること。そうして満たされた人が増えると、その人もまた他の人を満たすことができるになるのだと思います。

自分に矢印を向けて、人として当たり前のことをする。それが社内SNSの成功の可否を握り、これからのエンタープライズソーシャルネットワークを成功させることにつながるのだと思います。

 

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