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100年前に死んだ素晴らしき日本文明

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この年になると本を読んで「面白い」と思う事はあっても、「感動した!」ということがあまりありません。

しかし、久々に感動したのでおせっかいながらご紹介をさせていただきます。

その本は逝きし世の面影 (平凡社ライブラリー)(渡辺京二著、2005年)です。何かのメディアで紹介されていたのでしょうか、書店で平積みになっていたものです。もともとは1998年に単行本で出ていたようです。

歴史学者であり文明評論家である筆者は、江戸時代後期から明治にかけて日本を訪れた多くの外国人が当時の日本をどう見たかということを丁寧に検証しています。

もっとも驚くのは、ほとんどの外国人が当時の日本人を「朗らかで純粋、正直、真面目で無邪気で、男女・年齢を問わず、あらゆる階級の人が非常に幸福そうである。このような国民は世界に無い」と見ていたということです。そして、その時代の日本が美しい「妖精の国」「楽園」「この世の天国」であるとも言っています。

あまりに素晴らしい国であるため、歩いているだけで幸せになり涙が出てくる、という外国人もいます。逆に言うと、西欧は殺伐として不幸であるということでしょうか。

当時の日本がこのような感動を外国人に与えていたという事実に驚かされます。そして、少し誇らしくもあります。

しかし、開国で西欧化するにつれてこの素晴らしき日本文明は衰退し、外国人の証言によれば、今から百年ほど前の1900年頃に滅んでしまったということです。

今でも断片的にこの日本人の素晴らしさを見ることができますが、それは百年前の日本人とは違うのでしょうか。

西欧化は止められない動きだったと思いますが、人が幸福を感じる文明とは何か?ということを実に深く考えさせられます。

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