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Web2.0時代の企業広報・コミュニケーションと情報活用を再考する

コミュニケーションって雲!?

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前回、コミュニケーションって何だっけ?というタイトルで書いた。今回もう少し書いてみたい。さて、会社で「コミュニケーションって?」と聞かれたらどんな言葉をを思い浮かべるだろうか?
そんな興味を持って、いままで大勢の人に聞いてみたのだが、実にたくさんの「ワード」を収集することができた。ざっとあげると、「報告・相談・連絡」、「相互理解」、「KY」(*1)、「情報共有」、「意思疎通」、「インフォーマル・コミュニケーション」、「阿吽(あうん)の呼吸」、「飲みニケーション」、「eメール」、「情報発信」などなどザクザクである。他にも、「気を利かす」、「ユビキタス・コミュニケーション」、「P2P」、「情報活用」、「以心伝心」、「一を聞いて十を知る」などなどあって30個を超えている。聞いたまま失念してしまったものもあるかもしれないので、もう少し多いかもしれない。
つまるところ、広辞苑には確かに語義の説明はあったが、ビジネス現場では確たる定義はないまま使用されていると考えて間違いない。これほど、頻繁、かつ重要な場面で使用され、言葉の実態を相互確認することなく利用されている「言葉」はそう多くはないだろう。これでは、コミュニケーションの良いも悪いもないし、評価もくそもへったくりもないとしかいいようがない。
そこで、曖昧模糊として実にとらえどころのない「コミュニケーション」を、「雲=クラウド」と認識したい。私は、「コミュニケーション・クラウド」もしくは「インフォコム・クラウド」と呼んで勉強会やセミナーで使用している。確かに雲は目に見えるしあそこに在るということも分かるのだが、手にとってつぶさに確認して、これはこんな特徴があって、こんな問題があると認識できないところがそっくりである。

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 この雲ならぬ「コミュニケーション」は、実にいろいろなビジネス現場で悪さをしてくれる。次にあげるようなフレーズは、どなたも聞いたことがあるだろう。「そんなレポートあったっけ?」、「そんな背景があったんですか!?」、「そんな!そんな意味だとは気付かなかった」、「そんなこという訳ないだろう。議事録にありますが・・・」、「同じ説明を、何度も何度もしてられないよ!」、さらには「この上からの指示、本当かどうか確認してくれ」などなど挙げれば際限がない。これらを個人もしくは個人間のコミュニケーションの問題だと矮小化してはならない。いずれ、組織パフォーマンスの悪化となって我が身に降りかかる問題だ。
社内のある課長同士が「コミュニケーション強化」の意味を、ミーティング設定と飲みニケーション強化とを取り違えるなら、二人の課長の間の笑い話ですませられる。
しかし、会社の中のコミュニケーションのパフォーマンスが悪化していき、各現場から上にあがる情報が個々では正しいのに整合性を欠き、上から落ちてくる話が現場と微妙に乖離してると感じる様になったら、かなり危険なシグナルである。

 雲は太古の昔に、人の魂が天に昇って行く時の姿だと思われていたらしい。しかし、現在は誰もそのように思っている人はいない。ロマンがあって美しいたとえではあるけれども、気象学的に解明されていて、きちんと説明できるものになっている。同じように「会社の中のコミュニケーション」なるものを、よくよく理解しそのやりざまを工夫することは、指摘され続けて久しい日本(人)企業のコミュニケーション生産性の改善にとって非常に重要なポイントである。もちろん、ここでいう工夫とはIT/Web情報ツールがあってこそである。
次回より、企業内におけるコミュニケーションなるものを具体的に掘り下げていきたい。
(*1)KYとは、空気読めない!をローマ字化した際のの頭文字。最近、若者言葉の一つとして広まっている。

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