情報の濁流時代に生きる(Twitterに溺れつつも)
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いつの間にか情報は「入手する」ものから「選別する」ものになりつつある。
1冊1冊の本を大切にしていた時代は、もう遠い昔となってしまった。今や
テレビを見る時間だって欲しいし、たまには映画も見たい。Webの世界からは、
次々と新しい情報が押し寄せ、YouTubeだって、ニコ動だって、見逃せない。
電子的に新聞・雑誌、そして本も読めるようになってしまった。
毎日の電子メールの処理だけでも大変なのに、さらに、個人のつながりが
増えると、mixiやFaceBook などのソーシャルメディアも面白くてやめられない。
かつては、広大なWeb空間の中に点々としていた貴重な情報を見つけるために、
Googleのような検索エンジンが登場し、静的なWebからの情報選択には
ある程度の解決が示されたように思われていた。
しかし、人の欲望は際限がない。もっと、もっと「情報が欲しい」。
それも「自分にとって嬉しい・必要な」情報をと。
ある人々はこれを検索の「パーソナライズ化」だと読み、個人毎の検索傾向から、
必要な情報を「レコメンド」する手法が検討されている。ある人々は、もっと
「ソーシャル」な仕組みが必要だと言い、個人のつながりの解析を進めている。
その中で「Twitter」は、シンプルな「つぶやき」と「フォロー」に特化した
ことによって、「コミュニケーション」「パーソナライズ」「ソーシャル」の
機能を取り入れることに成功している。
自分のお気に入りの人をフォローして、TimeLineを眺めているだけで、
まさに「今」「リアルタイム」の情報が、これでもか、とやってくる。
Twitter には、Google では見つけることができない「今」があふれているのだ。
これを感じ取るためには、現在の「検索」技術は力不足であり、かつ
ここに新しい「情報選別」のヒントが隠されているような気がする。
我々は、これまでにない情報の濁流時代に生きている。
では、この濁流を溺れずに渡りきるには、どうすればいいのだろうか。
残念ながら、究極の解決法があるわけではない。
(こう書いている私も、Twitterに 溺れそうになっている一人である)
簡単な方法としては有料のクリッピングサービスを利用することであろう。
もしくは、優秀な秘書を雇い、自分に合った情報の選別を任せられれば良い。
しかし、私も含め、多くの人にとって、このようなお金に任せた手段は
は解決にはならないだろう。
個人的には、今の時点で、有効なのは「人力」フィルタリングではないか、
と思っている。昔から、良い本を探すために「書評」を利用したように、
良い情報を探すために自分が「これだ」と思うような、情報を発信している
「人+その人の発信する情報」を探すのだ。
そういった感度の高い人を探して、情報を入手するのに Twitter は極めて有効である。
ただ、残念なのは、「情報提供」のつもりで発信される情報と、そうでない
世間話で発信される情報が混在してしまう点だ。
現在の Twitter は、これらを区別するようにはできていない。
わずかにファボる機能(お気に入り)が助けになっている程度である。
Flickr のように、タグを付けるほど個々のつぶやきを分類することも
時間とともに、急速に鮮度が失われる TimeLineでは無駄だろう。
Google が PageRank という仕組みで Webの玉石混交を解決したように、
Twitter のTimeLine の玉石を選別するような仕組みが近く登場すること
を期待しよう。
技術的には、リンク先を区別する技術と、若干の自然言語処理や統計処理を
入れることによって、有意な発言と、世間話を区別できるかもしれない。
(もちろん、統計処理の元となるデータベースには何らかの仕組みが必要)
実時間で変化するメディアを、最新の技術を用いたフィルタを通じて
利用する、これが近い将来の情報濁流社会を生きる術だと確信している。
その世界が早く来ることを期待したい。
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