ファーストサーバ様におけるサーバー障害に関して、まとめと思うこと
ファーストサーバ社のインターネットサーバー障害について、サイボウズのグループウェアをご利用のお客様も含まれており、ソーシャルやネット上でいろんな情報が錯綜していることから、一応ここでも書かせていただきます。
※本ブログは私野水の文責において書かせていただいており、記載事実の正確さに関して慎重を期しますが、サイボウズの公式見解と必ずしも同じではないことはご了承くださいませ。
今回の障害については、会社や管理者、経営者の方の顔が浮かぶほど私が親しくさせていただいているお客様も含まれており、週末はいろんなことを考えながら過ごしました。
今回の障害の対象になりましたおよそ400社のサイボウズユーザー様には、本当に心よりお見舞い申し上げます。
今回の障害に含まれるサイボウズのユーザー様の範囲、および弊社の対応方針に関しての公式な説明は以下のとおりです。
■ファーストサーバ様 インターネットサーバー障害について(サイボウズ)
ファーストサーバ様は、サイボウズのASP及びホスティングパートナーの内の1社であり、運用されているサーバー群の中のいくつかが障害をうけています。
同じファーストサーバさんで運用、もしくはASPサービスをご利用のお客様でも問題なく稼動しているところもあります。
また、運用に関してサイボウズと直接契約されている「cybozu.com」のお客様や他のパートナーで契約、運用されているお客様は問題ございません。
また、今回の件に関し、弊社社長の青野がデータ管理について思うところをブログに書かせていただいております。
■自称イクメン社長 サイボウズ青野のブログ 企業データの保全について(サイボウズ社長)
青野のブログの文中にもありますが、サイボウズ自身のクラウド運用環境についてもご質問をいただいており、「cybozu.com」におけるデータ管理について情報を公開しております。
■cybozu.com のデータ管理(サイボウズ)
また、今回の障害の原因については、ファーストサーバ様が中間報告を出されています。
■大規模障害の概要と原因について(中間報告)(ファーストサーバ社)
お客様への対処方法についての詳しいFAQもございます。
■ファーストサーバ 6月20日に発生した大規模障害に関する「よくあるご質問」(ファーストサーバ社)
ここからは私の所感です。
ファーストサーバ様については、サイボウズのASPサービスでは最も古くからサービス提供をしていただいているパートナー様です。
2001年、まだASPサービス自体が珍しかった頃、ファーストサーバ様が今のヤフー傘下ではなく、クボタ情報システムから独立したころからサービスを提供しており、その頃からのお付き合いで個人的にも縁の深いパートナー様でもあります。
歴史の長さという点では、グループウェアのASP提供者としては老舗中の老舗でもあり、今回の障害対象にならなかったお客さまも含めますとサイボウズのASPサービスとしては最長の歴史と規模です。
当初バックアップがなかったのでは?とかハード障害のような情報も流れておりましたが、さすがにそのようなことはありません。
構成や体制については、上記のファーストサーバさんのリンクに一部記述がありますが、サーバーの管理プログラムの不具合であり、それを適用する手順のミスが重なったもので、ハード構成などが著しく劣っているわけではないと思います。
10年以上も安定運用してこられた実績はASP事業者としてはむしろ長いです。
今回の障害を受けて、「どこどこは大丈夫か?」「クラウドなんて使うものではない」という議論もありますが、世の中絶対安全と言えるサービスはないと思いますし、大手と言えるサービス事業者のハード構成やデータセンター環境は、データ構成も何重にもなっており、データセンターも堅牢で、少なくとも一般の中堅中小企業におけるサーバー環境よりは堅牢になっていることが多いのではないかと思います。
「クラウドだから不安」とか「メーカー直だから安心」とかではないです。
さらに今回の件は、「バックアップ◯重だから安心」でもなければ「実績があるから安心」でもないことを示す結果になってしまいました。
どこかの発電所ではないですが、対策を何重にもしていても、いくつかの年月の間にマニュアルが変わってしまったり、運用が変わったり、慢心してしまったり、キーマンがいなくなったり、なによりインターネットの場合は環境条件(新種のウイルスやクラッキング方法の開発、ハードやOSの規格)がすぐに変わります。
10年もデータを保全し続けるのも実は大変なのです。
サイボウズが運営しているクラウドの場合、上記の「cybozu.com のデータ管理」に記載していますが、データ管理方法についてはファーストサーバ様とは違う方法です。もちろん「データを絶対無くさない」ことを目指しています。
が、通常この手の事故は、予期しないミスや災害がたまたま何重にも重なって、いくつもあるセーフティロックを破って起きます。
なので、今回のようなケースでもバックアップデータの消失は起こりませんが、他のパターンで絶対に安全かと言われるとそれは残念ながら予想ができません。
99.9%安全と99.99%安全の差は、クラウドが出始めてから何年も経ってない現在では、統計的にも怪しく、確実な信頼性の差ではないのです。
では、お客様が選ぶ際の基準をどうするかは、今後のお客様サイドの大きな課題になってくると思います。
もちろんサイボウズとしては、パートナー様の運用基準を含め、今後このようなことがないよう対策を検討してまいります。
こと私自身に関しては、詳細に分かりやすく説明する、ということを徹底してゆきたいと思っています。
「絶対大丈夫です」「うちのほうが新しいので安全です」「実績があるので安全です」という説明では、大切なデータ(=財産)を守る説明としては甚だ定性的すぎるでしょう。
原発でもそうでしたが、そもそも仕組みがわからなければユーザー様の方では判断のしようもありません。
今まではどちらかというと私も上記のような説明をすることが多かったのですが(絶対という言葉は使いませんが)、今後は、お客様がリスクの度合いを他と比較して自分の基準で判断できるよう、どうして安全と考えているかをしっかりと説明してゆきたいと思っています。
そして、営業もお客様も、クラウドやサーバー管理の仕組みの知識がついて行くことで、結果的に現場が引き締まり、刺激され、もっと堅牢で成長を怠らない環境になってゆくものだと思います。
早速、8月に開くセミナーで、枠をいつもの2倍にできて時間がたくさん使えるようあるパートナー様のご配慮をいただきましたので、セキュリティの関係上、ご説明できないこともありますが、環境やセキュリティについてできるだけしっかり説明するセッションを追加しようと思います。
セミナーなどでお会いするみなさま、疑問の点がありましたら遠慮無くぶつけていただければ幸いです。