採用担当と学生さんに読んでほしいテレビ面接時の注意点
50万人が涙したと言われる『日本でいちばん大切にしたい会社』という本で紹介されたある会社さん(ユーザー様です)にお伺いしたとき、「テレビ会議システムは入れるのを検討したけど、テスト運用だけで導入しなかった」という話を聞きました。
理由を伺うと、上層部が「伝えたい事が伝わらない」と判断したということでした。
特に画質に問題があったわけでも、音が聞こえないとか言うわけではないそうです。
その会社では、遠隔の拠点を結んでの集会に活用する予定だったらしいのですが、テレビ会議の音声と映像では伝えたい事が伝わらないと思ったということです。
ユーザー様ですから、業務上必要な伝達事項はサイボウズのグループウェアでちゃんと共有されています。
だからといって、集会が無くなるわけではありません。
弊社でも、業務上のやりとりは過剰なくらいサイボウズの上でなされますが、それでも毎月一回全社員でのミーティングは行います。よく未導入の会社様で「グループウェアを導入すると、会社から会話が無くなる」と心配される方がいますが、文字では伝わらないこともあるのです。
Facebook上で活発にやりとりしても、ソーシャルランチとか言って、実際に会って話すのもそういうことでしょう。
一説によると文字だけのコミュニケーションでは、全情報量の25%程度を伝えるのが限界らしいです。
表情や声のトーンやペース、また熱気とかいう、雰囲気も含めて人間のコミュニケーションは豊かな情報量を持っています。
定量的な情報は文字でも十分に伝わりますし、そのほうが効果的なこともありますが、定性的なことを伝えないと人の心はなかなか動かせないということを人は本能的にわかっているのでしょうね。
ということを認識していながら、テレビ会議はやっぱり便利だと思います。
普段の遠隔地を結んでのミーティングはもちろんですが、弊社では時々地方の優秀な学生を獲得するために、採用面談でテレビ面接も使います。
私はよく二次面接あたりの面接官を務めるのですが、ビデオ面接は昨日が初体験でした。
メディアの特性を活かした使い方というところで、いろいろと思うところがあったので、書いときます。
ビデオ面接では、前述のように情報が抜け落ちます。抜け落ちる情報としては映像と音声の両方です。
・音声は圧縮されて届くので、聞き取りにくくなります。直接会ったときに1分間に1000文字話しても理解できたものが、500文字がやっとになったりします。
・しかも相手は聞き取りにくい言葉に神経を集中し、頭の中で無意識に文節の単純化を試みるので矛盾や冗長が気づきやすくなります。
・映像では言うまでもなく相手が見えにくくなるので、表情から読み取るはずの情報を音声で読みろうとします。
・促しや疑問といったちょっとしたアイコンタクトが通じません。
これに対する対策としては以下のようになるかと思います。
1.ゆっくり話す
音声の状況にもよりますが、いつもの2/3程度の速さで話すほうがいいでしょう。言葉がしっかり聞き取れれば、相手の脳内変換で単純化される可能性が減ります。
2.アクションは大げさに
アイコンタクトや表情で伝えるべきところをアクションでカバーしましょう。セミナー巧者が手でろくろを回すのはこれです。^^;
3.一つの回答を短く
アイコンタクトがないので不安になっていつもより冗長に話す人がいますが、完全な逆効果。途中から話が変わることは慌てているとよくあるのですが、直接なら理解されてもテレビを通してでは矛盾を感じさせるだけです。話し始める前に終わりの言葉を決めてから話しましょう。
4.いつもと違う自分であることを伝える
自分も相手もテレビ会議やテレビ面談に慣れているケースは稀です。「今日はテレビ面談で、私のほうは不安があるのでいつもより短く答えます、なので足りない部分は追加で質問してください。」と伝えておくとか、短い文章を言ったあとで、「ここまではいいでしょうか?」と相手の反応を伺うステップを要所に入れていく、とかやると印象が良くなりますね。
まあ、結局当たり前の注意点が並ぶのですが、どうしてそれが必要なのかのメカニズムを理解しておくと、より深いコミュニケーションができるかと思います。もちろん学生側だけではなく、採用担当の方も気をつけるべきなのはいうまでもありません。
私たちも、学生さんが緊張したり、力を出せなかったりしないように、気をつけてコミュニケーションしてゆきたいと思います。
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