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悩める中小企業経営者に向けて、ITと経営をいっしょに食べてやさしく噛みくだく試み

100%走り続ける仕事人生っていまどき流行らないですよね

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昨日の続きです。

「労使」という関係ではなくて、利益分配者として共通の利益のために協働するメンバーとして働くのが、たぶん新しい価値を生みやすくする構造なのでしょうが、感情的な上下関係を取り払うのは簡単な事ではありません。
WBSで取り上げていただいたサイボウズの制度は「時間」に焦点を当てたものですが、時間だけの問題ではないと思います。

昨日のブログで、柔軟な人事評価制度で会社が成長するためには「経営者が使用者の視点を持たなきゃいけないし、使用者は経営者の視点を持たないとできない」と書きましたが、これは二つの理由からです。

一つは、自立していないと自由な働き方で成果を出すことはできないという点です。言われたままで仕事をする体質だと、目の届かないところでサボろうとするのは自然な成り行きです。

もう一つは上司(管理職)を職位ではなく役割と考えよう、という視点がないとうまくいかないと思うからです。課長だから、部下より偉いとか、部長だから課長より偉いわけではなく、たまたま「マネージャー」という役割に当たっていると考えれば上司と部下の協力関係は成り立ちます。

上司を学生時代のマネージャーと思うようにすればずいぶんイメージが変わるのかなと思います。部活のマネージャーは出世競争の勝者ではありませんから。

出生競争の勝者としてのマネージャーという意識が働くとどうしても勝者とそれ以外の関係になってしまいます。
しかし、役割であればそういう意識は起こりません。
キャリアパスは階段をのぼる行為ではなく、格子状になった役割を自由に移動すると考えると今までと違う視点が見えてきます。

北欧は先に少子高齢化しているにも関わらず、独自の価値観やブランド力で世界的な企業を輩出しているいいお手本なのですが、IKEAのホームページの人事のページを見るとこう書いてあります。

※IKEAの採用ホームページより引用

上へ、下へ、そして横へ移動するキャリア
イケアには世界のどの企業よりもさまざまな職種があります。コワーカーが自分の仕事に飽きたり、別の仕事をしてみたいと思ったらイケアを辞めずに社内で新しい職場に移動することができます。


「仕事に飽きたり」っていう部分が脱力感があって私は好きです。

下へ行くのも横へ行くのもお互いに認め合おうという制度の精神みたいなものが感じられます。
IKEAの店舗は、家具屋さんとは思えないほど独創的なレイアウトで、商品も独特の価値観が溢れでていますが、このブランドを形作っている根底には、多様な価値観を認めるという人事制度が関係していると思います。

同様に、上へ下へを自由に行き来できる日本企業に星野リゾートがあります。

※星野リゾートの採用ホームページより

私たちの文化では、総支配人やユニットディレクターとして活躍する時期を「昇格」ではなく「発散」と呼び、逆に職を外れるときには「降格」ではなく「充電」と呼びます。“やりたい人がやりたい時にやりたい場所”にチャレンジしたり、“充電と発散”を繰り返すことにより、年功序列型の硬直化した組織ではなく、活力のある組織を構成しています。スタッフにとっても、ワークライフバランスに合わせて活躍の場を選択することができるのです。

人生は長いマラソンです。中には50年間ひたすら走り続ける偉人もいらっしゃいますが、多くの人はそんな環境に恵まれてもいなければ、そんなに強くもありません。
また、エースで4番バッターが9人でプレーする組織がまとまったチームプレーができるということもないでしょう。

星野リゾートは、サイボウズ製品を何種類も活用いただいているロイヤルユーザーですが、誰でもいつでも発散できたり、充電できたりする環境に必要な要素として「情報共有」をとても大切にしています。
グループウェアやWebデータベースを活用して、どの階層でも徹底した情報共有をすることで、いつでも役割の変更ができる組織にしているのです。

ちなみに星野リゾートやIKEAほどすごい成長はできていませんが、サイボウズの人事評価制度も職位と給与テーブルは連動していません。新人が明日から部長になることはマネージャーに必要なスキルという観点からまずありえませんが、役職で無くなったからといって給料が下がったり手当が無くなったりすることもありません。

星野リゾートのサイボウズクラウド活用事例はこちらです。

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