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悩める中小企業経営者に向けて、ITと経営をいっしょに食べてやさしく噛みくだく試み

ソーシャルに強い企業になるための3つのポイント

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昨日のブログで、実名のソーシャルネットワークが広がると企業と個人の関係性が逆転するという話を書きました。
正確には、企業であれ個人であれ、そのパーソナリティをきちんと出し続けていないと埋没しちゃうぞ、ということなのですが、企業のパーソナリティは個人のように自然と出てくるものではありません。

逃げられないとわかっていても、企業のソーシャルメディア活用にはパーソナリティ以前に、炎上や内部情報漏洩といったリスクを心配する企業も多いでしょう。
外部から凄腕クリエーターを入れて、大量に広告宣伝を流せば企業ブランドイメージが変わった時代とは違い、ソーシャルメディアを活用していいイメージを形成するには時間がかかります。
明日から全社員をFacebookに登録させて、好きに語らせることを躊躇する経営者の判断は、リスクを考えれば至極まっとうなものだと思うのです。

では、どのような条件があれば、ソーシャル大解禁したあと心配せず見ていられるような状態になるのでしょうか?というのを3つにまとめてみました。

1.社長は目標ではなくビジョンを語る

具体的な目標を定めることは必要です。しかし、社長の思い入れがいっぱい詰まった数字でも、社員から見た場合には解釈が変わります。社長の夢が社員の重荷であったり、ストレッチと思っていることが無謀無茶に映ることが少なくありません。
ビジョンは、その言葉のとおり「目に映るもの」です。
その目標を達成したときに企業がどんな姿であり、お客様はどんな素晴らしいサービスを受けているかを言葉にして社員に発信し続けましょう。
ビジョンがちゃんと共有されていれば、なぜこの仕事をやるのかの解釈が人によって変わりません。
もちろん、綺麗事を単語だけの綺麗事に終わらせたら意味がありませんので、言行一致させることが前提ではあります。

2.グループウェア(サイボウズ)を活用する

(サイボウズ)は宣伝ですが、「グループウェアを使いこなす」はすごい効果があります。
グループウェアの導入目的のほとんどは「情報共有」ですが、「共有」と言いながら、一方的な伝達に終わっている会社も少なくありません。

サイボウズは、社員数が300人にも満たない会社ですが、全員のTwitterフォロワー数を合わせるとおそらくは数万くらいになります。Facebookの友人数でも万は超えそうです。
そして、なにかニュースがあれば強制されるわけでもなく(逆にリリース前のリークを牽制する場面多し)リツィートやリンク紹介を行って、数十万読者のメールマガジン以上の効果を上げています。

どうしてこういうことができるのかとよく聞かれますが、その根っこはグループウェアの活用から来ています。
一例を言うと、サイボウズの若手社員はほとんどが日報の記載を義務付けられています。
そして、その日報の形式は「報告書」ではなく、グループウェアの「掲示板」です。もちろん社内でのアクセス制限はなし!
入社した社員はその日から、その日やったことに加えて、感想や日頃思ってることを掲示板に晒してゆきます。

それに対して、メンターを中心に多くの社員がウォッチして、時には優しく、時には厳しくアドバイス、叱咤激励、ウケ狙いのツッコミをしてゆきます。
このやりとり、ほとんどFacebook上のやりとりと同じノリです。

こうやって社内で多くの人の目に晒す文章の書き方を自然に身につけてゆきます。
時には「先輩のやり方に疑問を感じました」という所感が載り、先輩社員を慌てさせたり、基本的な製品機能を知らなくて上司を唖然とさせたりしますが、他部門には知れても所詮は社内の話。
社外へ漏れることはありません。(たまにセミナーのアイスブレークネタに使ったりしますが)

一方的な伝達や紋切り型の報告ではなく、グループウェアをソーシャルメディアのような社内コミュニケーション活性化ツールとして使うことで、反射神経で書きこんでもちゃんと会社のアピールになる文章の書き方やコミュニケーション方法が磨けるのです。

3.奮発して社員全員にスマートフォンを支給する

会社で携帯電話を支給・貸与している例は多いとは思います。
思い切って機種更新で全部スマホにしてしまいましょう。
もちろんサイボウズも使えます。Facebookも使えます。地図も使えます。電車の中、出先の待ち時間、仕事の合間のいろんなところで雑談に花が咲けば、会社への帰属意識は上がり、社員の結びつきは強くなります。

そして、その折に会社からの新製品情報や、会社に関する書き込みを目にする機会があれば、自然とつぶやく社員が増えてゆくでしょう。

4.おまけ

ソーシャルメディアポリシーをつくろう!が1番に来ると思った方、すみません。
あくまでオマケ的だと思います。
内部統制上、必要なケースは多々考えられますが、悪いことをする人がいるから法律が必要になるのと同じで、悪いことをする人を作らないように会社を作るほうがずっと大切です。
そもそも監視社会では、話したい気持ちも失せますし、匿名で変なこと書く人も出るでしょう。
まずは上記の順番で、会社の方向性を話しやすい雰囲気と環境を整え、ポリシーはその後でもいいのではないでしょうか。

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