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悩める中小企業経営者に向けて、ITと経営をいっしょに食べてやさしく噛みくだく試み

「ランニングコスト」という言葉の意味

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いよいよ、バージョンアップしたサイボウズ Officeの魅力を伝える全国セミナーがスタートしました。
12月までは東京にいるほうが少なくなるような感じで、スケジュールを見ていると笑ってしまいます・・。

昨日は長崎でした。
なるべくセミナーの合間を縫って、地方のエンドユーザー様の取材もしているのですが、昨日はパートナー様のご紹介で長崎の介護事業者の社長のお話を聞くことができました。

介護は2年前くらい注目してなるべく多くの会社を廻るようにしていますが、今後もっとも拡大が期待されている産業にも関わらず、なんとなくすでにひと回り終わったかのような疲労感を感じてしまいます。

日本の高齢化が急速に進んでいることは誰もが知っていますが、その数字予測を見るとホントにぎょっとします。
2004年には人口は1億2784万人、高齢者比率が19.6%だったものが、今から40年後の2050年には9515万人、39.6%にもなってしまうと予測されています。
未来予測は政治的や希望的な観測を含んだ嘘臭いものも多いのですが、人口予測だけは大規模な移民政策でもやらない限りほとんどずれません。

2050年なんて遥か彼方と思いますが、平均寿命が伸びた今日、現在40歳以上の日本人の半分は、まだ生きてその風景を目にすることになります。

介護事業に従事する方々は他の産業に比べむしろ士気が高く、奉仕精神に溢れ、一生懸命です。
それにも関わらず私がなんとなく疲労感を感じてしまうのは、現在でも構造的に儲からなく(むしろ赤字)なっている状態が、このままでは将来もっと悪くなる予感がしてしまうからです。

聞けば聞くほど現場は大変です。往復1時間かけて訪問介護を1時間行っても時給は1時間とか、朝発熱した患者さんに薬が届くのが夜とか翌日とか、それぞれもっともな理由があるのですが、ちょっと聞いただけではビックリするような事態がたくさん起こっています。

「ランニングコスト」とはうまく言ったもので、最大の経費は人間の移動にかかるものではないかと思います。
特に労働集約型の産業では大きな比率を占めます。
ここをITで解決してゆきたいと常々思っているのですが、コストやテクノロジーや、自分自身の力の無さからなかなか思うようには行きません。

セミナーで私は「移動と調べ物にかかるコストを洗い出したら仕事の何割になるか」というような話をよくしますが、人間が移動する「ランニングコスト」はITでできる最大のコスト削減ではないかと思います。
まだまだ、特に年配者が使うにはハードルが高いITですが、その昔キーボードとPCを使うことが前提だったコスト削減提案も、スマートフォンなどの普及で最近はようやく「あ、私でも使えそう」と思ってくれるような話ができる時期にきたのではないかと思います。

幸運にも今回はセミナーで全国を廻る機会を貰っていますので、もっともっと現場のお話を聞いて、いいご提案やいいシステムが作れるようなアイディアを考えゆこうと思っています。
こういうランニングコストはいいと思うんですけどね。

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