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悩める中小企業経営者に向けて、ITと経営をいっしょに食べてやさしく噛みくだく試み

優秀な産婦人科医は子供なしという皮肉

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Huluにやられてます。

Huluは米国からやってきた話題の動画配信サービスで、月々1480円(現在1ヶ月の無料トライアル中)でかなり新しいハリウッド映画や米国の主要テレビドラマが見れるという、動画好きにはたまらないサービス。
特にドラマについては、「24」とか「ヒーローズ」、「LOST」など、人気のタイトルが勢ぞろいしており、借りに行く面倒もないので、どっぷりハマる人もいるのでしょう。
配信の仕組みも相当考えられているようで、PC、スマートフォン、タブレットなどあらゆる端末で見れますし、イーモバイルどころか、状況がよければiPhoneの3G回線でも見ることができます。

最初は、禁断の「24」に手を出してしまい、24時間見続けるという家庭人としてはありえない失態を演じて凝りたので、1話完結に近いドラマにして、夕食後や運動しながら観るようにしてます。

で、お気に入りなのが「グレイズ・アナトミー」。シアトルの大病院を舞台に、外科インターンとして働く主人公たちの仕事と成長、そして恋愛を描いた青春医療ドラマ(by Wikipedia)なのですが、青春という割には、登場人物の平均年齢は30歳を軽く超え、介護や出産、不倫に医療問題と話のところどころに重いテーマが出てきて青春の終盤(のつもり)にいる私でも楽しめます。と同時にいろいろと考えさせられます。

日本では急速な少子高齢化が進んで問題になっていますが、アメリカでも事情は大きく変わらないようで、キャリアと出産、キャリアと介護はやはり悩める問題のようで、たびたび番組中にテーマとして上がってきます。
48時間働き続ける外科医は、確かに出産どころではないのですが、産婦人科医でもトップキャリアになれば出産なんてしている場合ではないというのがなんとも皮肉なところ。

医療現場は職場としてはやや特殊とは思いますが、中間所得者が減り、低所得者とエリートに二分化しつつある日本でも、特に有能な女性のキャリアは問題になってきてますね。

今の日本の労働環境、ワークスタイル、労務管理制度の多くは高度経済成長期に作られたもので、基本的には一家の収入を支える男性が、終身雇用で会社に忠誠を尽くしてがむしゃらに24時間働き、それを女性が支えるというものです。
在宅勤務のセミナーではよくお話しするのですが、このやり方ではどうやらまずい事態になってきています。

在宅勤務は、今回の震災を期に注目を集めていますが、それ以外にも「会社」に「フルタイム」いるという働き方が時代に合わなくなっている要因があります。
一つは、高齢化であり、もうひとつはワークスタイルの多様化です。

高齢化は二つの要素でがむしゃらに働くことを邪魔します。まずは労働者の高齢化。日本の労働者の平均年齢はすでに45歳を超えているようで、半数以上は成人病にいつなってもおかしくない状況にあります。病気になれば当然に休まなければなりませんし、行動に制限も出てくるでしょう。
それに加えて、もっと行動を制限するものが親の介護問題です。
その昔は、働きに行く親の代わりに小さな子どもの面倒を見る祖父母という図式でしたが、そのまま年齢が上がってきていますから、働きに行こうとしない大きな子供の面倒まで見ながら、片方で親の介護もする中高年共働き夫婦という図式が多数派となりつつあります。

相変わらずフルタイムハードワーカーを求める企業に対して、疲弊しながら収入ラインを維持しようと必死に働く中高年層と、疲弊する親を見てモラトリアムを決め込む子供世代。そして体の動かなくなった祖父母。いまはまだリタイアした世代が資産や充分な年金を持っているケースが多いですが、やがてはそれも無くなってゆきます。

ワークスタイルの多様化は、共働きや草食化などの要因がありますが、考えてみると高齢化に伴う必然的な変化と言えるかもしれませんね。

中小企業にとって、在宅勤務やテレワークは、そうしたハードワークが不可能になったけれども戦力としては魅力的な高いレベルのワーカーを確保する手段にもなります。
大企業は、派遣労働者の割合が半数を越える現実にも関わらず、労働者を守るべき労働組合が、正社員の生活水準保護を目的としているため、フルタイマーのハードワークという就労体制にはなかなか踏み込もうとはしていません。
その結果、意欲も能力もあるにも関わらず、短期間のリタイヤや介護の問題で、大企業でのキャリアから落ちてしまう人が多くいます。
その人達がなかなか中小企業へ回ってこないのは、中小企業の労働環境が大企業よりもさらに過酷と思われてしまうからです。

経営者に取って、かつて成功パターンだった終身雇用フルタイムを中核とする戦力編成を変えるのはなかなか難しいこととは思います。
しかし、制度はすでに疲弊し、体力や環境ほどには落ちていない能力のある人達が、その能力を持て余しています。
いつでもどこでも働ける環境の職場をマネジメントすることは大変ではありますが、従来の延長線上で成長が見込めないとしたら、新しい戦力と新しいワークスタイルを取り入れてみてはいかがでしょうか?


※サイボウズのユーザー様やテレワークの第一人者への取材などを通して、震災以降の在宅勤務・テレワークの事例やアドバイスをまとめた冊子を作ってみました。
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