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F1とF1層はどこへ行った?

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バブル世代がF1と聞いて思い出すのは、「F1 Grandprix!」という小林克也のナレーション。
ですが、ここでは業界で主流だったF1層マーケティングの話。

インターネットの世界では、今はソーシャルマーケティングが全盛期ですが、バブル世代がなかなか馴染めないものの一つにこのソーシャルマーケティングがあるのではと思います。
バブル世代が洗脳されているのは、もちろんマスマーケティング。

糸井重里さんがコピー書いて(サイボウズユーザーです!ついでに私の母校の先輩でもあります)日本らしい細部までオブラートに包みまくった美しいクリエーティブとともに、期間集中でマスメディアにコマーシャルが大量に流されて、イメージソングはあっという間にベストテンを駆け上がる黄金のヒットの法則です。

カラオケで「現在45歳」のあなたが「17歳」の頃の「ヒット曲」と打ち込めば、そこが同窓会の会場なら、全員が歌詞も見ずに歌い出し、何人かの(かつての)女子生徒は振りつきで踊り出す世代です。もう洗脳としか言いようがありません。

バブル世代に馴染みの深いマーケティング用語に「F1層」というのがあります。
おおよそ25歳〜30歳の独身女性で、流行に敏感で購買力がある、つまり「流行で財布の紐がすぐ緩む」人たちを美しく言い表した言葉で(その影にはその購買力を支えるたくさんのみつぐくん達がいたのだが)マスマーケティングにとってはもっとも効率がいいターゲットです。

F1層へのマーケティングは、そのままその後に続く多くのフォロワーの購買を誘い、他の層に波及してこその経済効果だったのですが、残念ながら現在はこのマーケティング手法は役立たずになってきています。
理由としてもっとも大きいのは、現在のF1層の嗜好が多様化して大きな流行をつくりにくくなっていること、そして、F1層の財布のひもが硬くなって、モノを買わなくなってきたことです。つまり草食化しちゃったということになります。

ソーシャルマーケティングがマーケ手法の流行になりつつあるのは、クライアントがニッチな市場に向けてマーケティングできるネットという手段を手に入れた事と、ターゲットが草食化してマスにガツガツしなくなり、丁寧なコンテンツを消化した上でようやくモノを買うようになったという供給側と需要側の双方の変化の結果です。

では、マスマーケティングはもうムリなのか?というとそんなことはないかと思います。
その例が、フジテレビの韓流マーケティングです。
韓流がいいか悪いかをここで論じる気は全くありませんが、韓流ブームを支えているのは、その昔F1ブームを創り上げた供給側のフジテレビと、その昔のF1層であるバブル女子(もう子供じゃないけど)です。

ここ10年くらいは子育てに忙しくなりを潜めていたバブル世代の女性ですが、ようやく子育ても一段落して周りを見渡すと、そこにあったのが、当時の価値観がそのまま発展したような韓流スターたちと韓流ドラマです。
まっとうに格好良く、よく訓練されていて、物語は純粋でドラマチック。
韓国のイケメンに投資するより、子供たちと、特にだんなに投資して欲しいとは思うものの、韓国のコンテンツを見ていると、バブル世代の女性の憧れをよく掴んでいると思うし、日本の業界がいかにF1層を取り違えていたかに気付かされます。

つまり「流行に敏感で購買力があるF1層」というのは、「子育て前の女性」ではなく、「成長神話が好きな比較的経済力がある肉食系」だったというわけです。
そう考えてみると、ネット上によくあるアンチエージング製品のマーケティングは、マスマーケのミニ版のような手法を用いていることが多いですね。

不況の中、ネットマーケティングを考える中小企業は増える一方で、そこにアプローチするネットマーケ業者も増えていますが、ターゲットの属性も考慮せずに、とにかくメルマガの配信数とか、とにかくクリック数とか、とにかくフォロワー数とかいうパターンが多いように思います。

ターゲットにしている購買層が、どうしてその行動特性を取るのかまで考えてみれば、自分たちの商品やサービスがマッチするお客様の行動特性をもっと見極められるのかなあと思います。

※どうでもいいんですが、バブル当時、テレビカメラマンだった私は番組収録でちょっとしたヘマをしでかして、キングアンドクイーンのフロアで衆人の見守る中、「夜霧のハウスマヌカン」を歌うややさんとランバダを踊らされました。
華やかな業界とはいってもこっちは田舎のロケカメラマンですから、メチャ恥ずかしかった。
フラッシュライトが光るフロアには踊るふたりだけ、周りはゴールドの装飾物やお立ち台が並び、エキストラや一般の観客の視線を一身に浴びるという今となれば貴重な羞恥プレイでした・・・。

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