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もしも洞察力があったなら……。

【広報かるた】・【く】クラブ通い。勘違いしないで、記者クラブだから。

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夜のクラブへ熱心に通われる方もいるかもしれませんが、ひとまずその話は置いておきましょう。

広報にとってクラブと言えば記者クラブ

ネットが当たり前になって久しい今、メディアのあり方が注目されていますね。記者クラブってなんなの?必要なの?などかなり難しい議論が展開されることもしばしば。

私が民主党政権時代にある人に呼ばれて首相官邸にお邪魔した時(私の政治思想はニュートラルです。念のため)は、おりしも政府が報道をはじめとした対外コミュニケーションの見直しを図っていた頃。記者クラブの開放が議論され、試験的にいくつかの施策が導入され始めていたのでした。

もともとは報道の自由競争による過熱を抑制し、政府がメディアをコントロール(文意は統制であって、操作ではありません。)するために1920年代にできたのが始まりだそうです。利点は、政府や事業会社による情報伝達の効率が上がること。ワンニュース・ワンメッセージで情報の一貫性、信ぴょう性や統制を維持できること等が挙げられます。一方で、本営発表に基づいた横並び(になりがちな)報道のため、媒体の個性が出にくく、また、記者がクラブでの発表に依存するため、本来の「国民の知る権利を充足するために取材へと奔走する」という図式が希薄化すること、などが批判として指摘されています。

さて、私たちIT業界の広報は企業に差はありますが、様々な記者クラブ通いをしています。

内幸町の日本プレスセンターから徒歩5分ほどのところにある情報通信記者会はその一つ。上場企業では東証の兜クラブが有名でしょう。

その他、会社によっては政府省庁の記者クラブ、地方の県庁記者クラブなどと接点を持つ事業会社も多いですね。

沖縄支社設立の時には沖縄県庁記者クラブで会見をして、、、楽しかったなぁ(遠い目)。

ちなみに、かつては通信事業会社による記者クラブ(大手町某所)や、機械系の記者クラブ(東京タワー付近)などがありましたが、時代の流れに伴い発展解消し、一部その名残が存在しています。

ところで、日本オラクルでは普段は、特に内容に必然性がない限り記者クラブを介した報道発表は行っていません。インターネット時代の企業ですし、すべて直接担当記者のもとに情報を直接届けるようにしているからです。これは、世界中で統一されたアプローチなのです。

専門家以外にはあまり知られていないことですが、多くの記者クラブでは48時間、または24時間ルールというものがあります。特定の内容に関する発表やその会見の案内をクラブに提出したらその48時間(または24時間)は「しばり」という沈黙期間に入り、出しぬき報道が抑制されます。その代わり、事業会社は何があってもその発表や会見を実行しなければならないのです。報道の秩序を双方に保つために必要な最小限のルールと言っていいしょう。ちなみにこうしたルールを逸脱すると、媒体だろうが事業会社だろうが、紳士の取り決めを破ったということで出入り禁止になったりします。広報担当は、中止になるかもしれない発表の予告や案内は記者クラブでしない方がいい、ということですね。

さて、記者クラブには広報のベテラン、若手、PRエージェンシーの担当者など、様々な人が通います。記者クラブは多くの記者の拠点ですから、ちょっと記者と打ち合わせしたいときにここに行くととても効率よく雑談ブリーフィングができます。なので、記者クラブとお付き合いのある方は、適度な頻度で通うことをお勧めします。私も、情報通信記者会そのものとのお付き合いはやや希薄ですが、そこに詰める記者と現地で雑談打ち合わせ等を定期的にやっています。実際には、10分もいるとなんだか息苦しくなるので外にビールコーヒーを呑みに行ってしまうわけですが。

ということで、広報が記者クラブに通うのは必然であり、とっても重要なお仕事の一つなんですねっ。

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(広報会議2013年2月号より)

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