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夏目房之介の「で?」

コミックパーク「マンガの発見」更新

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【 連載第114回 】   「「マンガは芸術か?」(3) 知識人とマンガ世代」
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鶴見俊輔、石子順造ら知識人のマンガ言説から、「ガロ」「COM」をへて、50年前後生まれの「マンガ世代」に移行してゆく過程を検証しようとしてます。まだ途中です。これから霜月たかなか『コミックマーケット創世記』(朝日新書)にも触れつつ、70年代後半期の村上知彦、米沢嘉博、中島梓、亀和田武らの言説の浮上までの間、水面下で何が起こっていたかを少し探れればと・・・・。

『コミケ創世記』は、マンガ読者作者共同体のマンガ史から見て、のちにおたく共同体へつながる水面下の動きを垣間見ることのできる、非常に貴重な証言で、ほとんどミッシングリンクの一部が明らかになったといっていい仕事です。以前、ブログでも少し紹介したけど(「辰巳ヨシヒロ『劇画漂流』上巻と霜月たかなか『コミックマーケット創世記』」)、自分自身が深くかかわった運動を、こういう形で記述するのって、想像以上に大変な作業なので、じつにありがたい。「なるほど、こういう気分で、こう考えて、こんな経緯だったのかー」と、いろんなことが腑に落ちた。こうした作業がさらに進んでくれるといいなあ。今の若い研究者にとって、60~70年代の錯綜した言説史は濃霧に包まれたままだと思うので。

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