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DX:デジタル・トランスフォーメーションは冷蔵庫にある食材で料理する主婦の料理ではなく・・

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年末年始でお会いした知人のうち、なんと3名が新たに設立されたデジタル・トランスフォーメーション組織の長となったと聞いた。 それほど、企業のデジタル・トランスフォーメーション(DX)への取り組みが活発となっているということだろう。

しかし、従来の情報システム部門を再編(改名?)して、デジタル・トランスフォーメーション本部などとしている企業もあるようだ。 BPRなどの過去のブームを経験している筆者としては、少々デジャブ感がある。

話は変わって、最近、複数の人から、「冷蔵庫の食材で料理をする主婦と、つくる料理を決めてから食材を調達するシェフ」の例え話を聞いた。 どんな文脈だったか、誰から聞いたのか、覚えていないので、ほとんど詠人知らず状態だが、妙にその例えが上手い!と思ったことだけ覚えている。

ところで、DXを過去のBPRなどと同様に捉えることは危険である。

デジタルテクノロジー、インフォメーションテクノロジーの急速な進化に伴って現在起こっていることは、

デジタルは利用者を『現実世界の制約から解放』できる。現実世界に生活していながら、同時にデジタルの世界(仮想世界)で新しい接触や相互作用が生まれる。仮想世界でつながっていれば、現実世界での関係を破壊しても(あるいは依存しなくても)成り立つ世界ができる。(デジタル変革とそのリーダーCDO(神岡太郎著))

そして

このデジタルによる『現実世界の制約から解放』によって、企業は「これまでと同じ事業や戦略では生き残れない」(デジタル時代のイノベーション戦略(内山悟志))

ということである。つまり

NO DX, NO BUSINESS

である。

そんな大変革に気付き、DXを必須と考えて、急ぎDX組織を新設している経営者が少なくないことは非常に頼もしいことである。

しかし、

「これまでと同じ事業や戦略では生き残れない」ことに対応していこう、

ということなので、これまでと同じやり方で効果をあげられる可能性が高くないと思う。

どうすればいいのかというと、これまでの延長線上ではないことをやろうとしているのだから、

冷蔵庫にある食材で料理をする

のではなく、

つくる料理を決めて、そのための食材を調達する

ことが必要だろう。

それは、技術だけでなく、人材もだ。いや、人材こそが DX 成功の鍵であるので、自社で推進すべきDXを定めて、それを推進する人材を調達すべきであろう。

料理を決めずに、冷蔵庫にある食材を集めて、DX組織をつくっていませんか?

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