IoTでは何も変わらない。IoTで実現するCPSが世界を変える。
去る6月3日、世界のIoT推進の中核組織のひとつであるインダストリアル・インターネット・コンソーシアム( IIC:Industrial Internet Consortium )のパブリック・フォーラムが、慶應大学日吉キャンパスの藤原洋記念ホールにて開催されました。
IICは、2014年3月に米ゼネラル・エレクトリック(GE)、米シスコシステムズ、AT&T、インテル、IBMが共同で設立した IoT( Internet of Things )の普及を推進する団体であり、現在は世界各国の220社以上が参加しています。
今回のパブリック・フォーラムは、
このフォーラムに限らず、日々のニュースにも頻繁に IoT という単語が登場していますが、この IoT という単語があらわす範囲が非常に広く、また様々な企業や団体が様々な使い方をしはじめていることから、「また、IT業界が新しいバズワードを創りだしている」 という批判の声も聞こえ始めているようです。
IoT の定義については、文字通りの
「ありとあらゆるモノがインターネットに接続する世界」
という漠然としてものから、
Internet of Thingsの略で「モノのインターネット」などと言われることもある。もともとのコンセプトは、機械同士がネットワークでつながるM2M(Machin to Machine)の考え方から来ている。あらゆるモノがインターネットにつながることによる革新を指す。 (ZDnet)
という従来からのM2Mのトレンドで説明している定義であったり、
モノのインターネット(Internet of Things、IoT)は、様々な「物」がインターネットに接続され、情報交換することにより相互に制御する仕組みである。それによる社会の実現も指す。「物のインターネット」と表記された例もある。(ウィキペディア)
と説明されていたりします。 また、
2020年までに340億のデバイスがネットに接続されるようになり、2015年の100億デバイスから約3.4倍の伸びになると予想しております。内訳的にいわゆるIoTデバイスが240億個で、従来型のPCデバイスが100億個の勘定です。(Business Insider)
というように規模感を接続されるデバイスとそれに伴う市場規模として捉えていたりして、どれも 「モノがインターネットに繋がっていること」 をあらわしているのみであり、最近語られている IoT の文脈をあらわしていないような気がしていました。
そんなふうに感じていたのですが、このフォーラムで発表されていたIBM技術理事の山本宏さんの IoT についての説明が素晴らしく腹落ちするものでした。
IoTとは、CPSを実現するための手段である。
CPSとは、サイバー・フィジカル・システム (Cyber Physical System)の略ですが、ネットコマースの齋藤昌義さんの「コレ一枚」の図を見れば、全体感を持って理解できると思います。 (今回は コレ2枚 を引用させていただきました。)
私達が暮らしているリアルな世界(現実世界:Physical World)の様々なモノ/コトをデータとしてサーバー世界(コンピュータの世界:Cyber World)に取り込むことで、データ解析をしたりデータ活用したりすることができるようになります。
現実世界のモノ/コトをデータ化しサイバー世界に送り出す役割を担うのが IoT です。そして、サイバー世界に取り込まれたデータは、ビッグデータとして処理されたり、アナリティクスや人工知能の処理を行うことで、これまで難しかったり不可能であったことができるようになり、それらの結果を現実世界に戻し、意思決定支援を行ったり、またはロボット等を駆動させたりすること:現実世界へのフィードバックを行うことで、世界が変わるというと説明されています。
総務省の「グローバルICT産業の構造変化及び将来展望に関する調査研究(平成27年)」に挙げられているIoTの適用分野、適用イメージ
を、先ほどのCPSを説明した図とあわせて 「CPSの適用イメージ」 として考えると、解かりやすいと思います。
そんな解かりやすい説明をしていただいたIBMの山本さんにご無理を申し上げ、来る6月13日(月)の夜に、成迫が主宰である勉強会:Open白熱塾の講師になっていただき、IoTやCPSのお話、そして、IICが策定し更改しているIIRA(インダストリアル・
Open白熱塾については、その趣旨に賛同いただける方はどなたでも参加いただけますので、ご興味のある方は、以下FBイベントをご覧ください。