個人情報保護と個人情報活用
最近、ジャパンプライバシーセンター社の祖父江さんとお会いすることが多い。
ジャパンプライバシーセンター(Japan Privacy Center : JPC)という会社はあまり知られていないが、プライバシーの父と言われるアラン・F・ウェスティン博士 (Dr.Alan F. Westin:コロンビア大学名誉教授)が共同社長を務めるプライバシーに特化したコンサルティング会社である。 社長の祖父江さんも、アラン・ウェスティン博士に師事した『アランズ チルドレン』である。
日本では『プライバシー』を『個人情報保護』と訳してしまい、『セキュリティ』と混同されてしまいがちであるが、氏によれば、プライバシーの定義は以下だそうだ。
プライバシーの定義
個人が自分に関するどの情報を他社に知らせて、それがどう使われるかを、自分で決定する権利
私なりに理解をすると、企業と個人の関係において個人が自分の情報を企業に知らせ、その情報によって自分のためになるように使ってもらいたい、ということ。 その情報を外部に漏らしてしまうなどの情報保護は当然のこと。
個人情報漏えい事件が多発し、それが大きく報道され、社会問題となっている中で、多くの個人情報を保持することが悪いことのような印象をも受けてしまうが、根本的には、個人情報は、各個人の幸せのために使われるべきものということ。
馴染みの店の心地よさ。 それは、言わなくてもいつも頼む酒がでてきて、好みに合った料理がでてくる。 今日は顔色が悪いだとか、友人は昨夜来たので今日は来ないだろう、とか、私個人にあったサービス(会話も含めて)をしてくれるからこそ、馴染みの店は心地よく、誰しもが『よく行く店』というものを持つのだろう。これは『個人情報の活用』である。 店のマスターは、私の不利益になるような『私の個人情報』を外部に漏らすようなことはしない。しっかりと個人情報が保護されている。
小さな店ではなく、大規模な店や企業、またはインターネットを介したビジネスなどでは、『馴染みの店』のような属人的なサービスはできないから、ITを活用した個人情報の活用が必要となってくる。 売上を伸ばすために個人情報を活用している側面もあるが、売上を伸ばすということは、お客さんに満足をしてもらっているということだから、根本的には、お客さんのために『個人情報を活用』しているのである。
ポイントカード等で個人情報を集めている企業は多いものの、まだまだ『お客さんのために個人情報を積極的に活用』している企業は少ないようだ。 このあたりに、今後のビジネスの差別化の要素があるのかもしれないと感じている。