サインはVとS ハイブリッドピアノへの密かな刺客
新幹線ネタなどでお預けになっていたハイブリッドの話の続編を電子ピアノの視点から書きます。
ハイブリッドピアノへの刺客 まずはローランドが放つ"V"
前回はどちらかというとアコースティックピアノの視点からでしたが、電子ピアノ市場の中でのシェアを見てみると、GfKジャパンのデータでは数量ベースでカシオが50%以上、とダントツです。その後をヤマハ(約40%)、カワイ(約3%)で追いかけるという図式になります。ここまでは前回も触れた通りです。電子ピアノのメーカーには他にもコルグとローランドもあります。この両メーカーはどちらかというと商品のメインはむしろシンセサイザーという感じですが、ローランドからは先日ご紹介したヤマハのAvantGrandとは異なる形のピアノが登場しました。その名はV-Pianoです。
ハイブリッドピアノも電子ピアノも音源は基本的にサンプリングがベース、つまり実際のピアノの音を録音したものを再生する形です。しかし、このV-Pianoはサンプリングではなく、演算処理により仮想的なピアノを作りあげるもので、「調律」ができたり、実在しないピアノをモデリングすることもできるモンスターピアノです。といってもなんのことやら、という人はこちらをどうぞ。
ヤマハやカワイのアプローチを嘲笑うかのような技術ですが、どちらかというとステージピアノにカテゴライズされるようなものですので、直接バッティングしないと思います。ただし、これがグランドピアノに近い形でかつ、インテリアショップにも普通におけるスタイリッシュなものに化けるとセールス的にも結構良い線を狙えるかもしれません。
DTM界からの刺客"S" グランドピアノがタダで手に入る?
ピアノという楽器は、電子ピアノやシンセサイザーなどで幅広く代用されていますが、最近はDTMの世界でも、ソフト音源という形でいくつもピアノ音源が出ています。定番品といえば、Ivoryなどがあげられますが、恐ろしいものが登場しました。Sonart AudioのYamaha C7 Grand Pianoです。その名の通り、ヤマハのC7というグランドピアノをサンプリングした音源で、1.68GBという巨大なものです。ちなみに、最近本家ヤマハから出たピアノタッチのシンセ S90 XS/S70 XSのピアノサウンドの容量が142MBですから、全く子供だましのものではないことは明白です。しかも、タダです。民主党の「高速無料」マニフェストなんかで喜んでいる場合ではありません。どこかのコマーシャルではないですが、お値段「異常」XXX! と叫びたくなるところです。私もダウンロードしてKONTAKT3経由で弾いてみましたが、通常の利用では特にアラはありませんでした。ヤマハのあの固めでライトな音が欲しい人にはおすすめです。また、今手持ちの電子ピアノの音に不満な人は、今ある電子ピアノとPCをmidi接続して音をアップグレードする、ということも簡単にできます。
電子ピアノにおける商品開発の今後の方向性
V-PianoやSonart Audioの無料ソフトの出現により、サンプリング容量で商品の付加価値を高める、という従来の手法は事実上無意味なものになってしまいました。これからはそれ以外の付加価値が必要ということであり、デザインであったり、演奏フィーリングというところにより商品開発の焦点が当たっていくことになると思います。ヤマハはそこに気付きつつあるようです。元バンド少年として見ると、次はどんな商品が出るか、目が離せないところですが、引き続き各ピアノメーカーさんの頑張りに期待したいところです。
おまけ:最先端のピアノ練習ツール?
その名もConcert Hands。これはどこまでまじめなものかなんだか分かりませんが、本当に効果があるのであればチャレンジしてみたいものです。。。