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【書評】『ウィキリークス アサンジの戦争』:ガーディアンの視点

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講談社 / 単行本 / 354ページ / 2011-02-15
ISBN/EAN: 9784062168502

ウィキリークスに最も早くから接触し、外交公電のスクープを連発した英ガーディアン紙によるウィキリークス本。
ちなみにガーディアン紙とは、中道左派・リベラルを標榜しており、調査報道で名を知られる名門新聞社である。

◆本書の目次
1   秘密の館
2   技術兵の「正義」
3   ジュリアン・アサンジ
4   ウィキリークスの誕生
5   「アパッチ」のビデオ
6   ラモとの対話
7   取引
8   作戦会議室
9   アフガニスタン戦争報告書
10 イラク戦争報告書
11 公電
12 世界一有名な男
13 パートナーの不安
14 嵐の前に
15 公開日
16 史上最大の機密漏洩
17 ウォンズワース獄舎のバラッド
18 ウィキリークスの行方
ウィキリークスと協働関係にあった新聞社による本は、独シュピーゲル誌による『全貌ウィキリークス』もあるのだが、そちらが客観的な立場で描かれているのに対し、こちらは自社自身も一人のプレーヤーとして主観的に描かれており、表現も生々しい。これは、最終的にウィキリークスと対立関係に陥ったということによる影響もあるのかもしれない。多少センセーショナルな書き方をしているので、良くも悪くも、週刊現代の記事を読んでいるかのような感覚だ。

ウィキリークスに関して保持している情報としては、独「シュピーゲル」誌とほぼ同じであると推測されるが、最も興味を惹かれるのが米外交公電のリークを行う際のジュリアン・アサンジとのやり取りである。互いに協力しあい、キュレーション・ジャーナリズムとでも言うべき新しい道を見出しながらも、ジュリアン・アサンジの必要以上に介入してくる姿に対立構造が深まってくる部分の記述は、本書ならではのものである。

これまでに国内で発売されているウィキリークス本は、ほぼ全て読んできた。いずれも読み応えがあったのだが、どこか自分事化できないのも事実である。幸か不幸か、日本という国に与えたインパクトがそれほど大きくないからであろう。この先、日本を大きく揺るがすような出来事が起こって欲しいような、欲しくないような、実に複雑な気持ちである。そしてこの二面性こそ、ウィキリークスの本質なのだろう。

 
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