知識がないのに自分は何でも知ってると信じている人が増えている理由
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今、世界的に「知的謙虚さ」が話題になってます。
謙虚さは確かに大事です。でも、なぜわざわざ「知的」をつけるのでしょうか。
それは「知的謙虚さ」の低い人が、あまりに多いからなのです。
アメリカ海軍大学校のトム・ニコルズ教授によると、「知的謙虚さが低い人は、基本的な知識がないのにもかかわらず『自分はなんでも知っている』と信じている、普通の人」のことだそうです。
つまり、傲慢ということですね。
ニコルズ教授はさらにこのように言っています。
「彼らは『自分が専門家より博識で、大学教授より広い知識をもち、だまされやすい大衆より見識がある』と思っている」。
たとえば、ソーシャルメディアの参加者は、本来、議論するために必要とされる最小限の知識がないにも関わらず、その道の専門家に対して同じ目線で議論しようとして、まったく話しがかみあっていないことに気がつきません。
数年前に見た論文で、そのような低レベルの議論をしているネットの読者レビューをそのまま引用している人がいました。「本来は原書を当たるべきなのに」と唖然としてしまいました。
知的謙虚さが注目されたのは、トランプ元大統領の行動がきっかけと言われています。アメリカ大統領が、知的謙虚さの低い内容のツイートを繰り返し、世界に大きな影響を与えていたことを記憶されている方も多いかと思います。
ソーシャルメディアは、書き手の知的謙虚さが問われるものなのです。
【参考文献】
T.ニコルズ『専門知は、もういらないのか 無知礼賛と民主主義』高里ひろ訳,みすず書房 (2019年)
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