どんな人にも成長欲求はある。例外はない
「退職して次の仕事に就かずブラブラしている。この人、変わらないよ。しょせん成長したいなんて思ってない」
会社を辞めた人に対してこう言っている人がいました。
「会社を辞めた」
「次の仕事に就いていない」
だからと言って、その人が変わらないと判断できるでしょうか?
私が子どものころ、優雅にママ友とお茶ばかりしていた近所のお母さんが、突然仕事やボランティアを始めたのをみたことがあります。不思議に思った私は、単刀直入に「なんでお仕事するの?」と聞いてみました。するとそのお母さんはこう言いました。
「自分に何もないって、惨めよ〜」
「人は成長に対して何よりも価値を感じている」と言ったのは哲学者のニーチェ。
人は、もともと成長への欲求を持っているのです。
冒頭の元社員が、会社を辞めたのは「ここにいたら成長できない」と感じて「成長したかったから」辞めたのかもしれません。
そもそも、その人が成長しているか、していないか、他人は分からないものです。
そして、自分のことも意外と分からないものです。
教育学者の山澤和子氏によると「夫や子どもたちに囲まれていた幸せな主婦たちが、日常的な気づきや学びをきっかけに、無意識の中にあった『何か自分を活かしたい』『働きたい』『学びたい』という意識を顕在化させているという事例が多くある」と言います。
人は、口では「成長する必要なんてない...」と言っていても、じつは無意識の中に成長への欲求を持っているもの。
無意識の中にある「成長したい」という気持ちに気がつくには、きっかけと時間が必要なのです。
無意識の中にある成長したい気持ちに気づけば、どんな人でも成長できるのです。
【参考文献】
F.W.ニーチェ『権力への意志(下)』原祐訳,筑摩書房(1993年)
山澤和子『女性の学びと意識変容』学文社(2015年)