恥をかくのは良いこと
恥をかくことはいいことです。
「人前で何回恥をかいたか、恥の数だけ上手くなるんですよ」
と私は先生に何度も言われてきました。
そう勇気付けられ、恥をかいても、また懲りずに演奏会をしてしまうのです。
でも、「もう一回」となったら、前回と同じでは意味がありません。
次のチャンスまでに、反省と復習をしておいてください。
それが素晴らしいのだと思います。
また頑張りましょう。
そしてこもう一つ、とても大事なことを教えていただきました。
「指揮者の言うとおりにしか演奏できないのはダメな合唱団。
もっとふっかけてきてください。
やりすぎていたら言いますし、いいことをしていたら"それもらいましょう"となるから、気にせずどんどん出してきてください。」
とおっしゃったマエストロがいました。
「おとなしく言われるがままに演奏されるのはつまらない。
こちらが汗をかきながら"もっと出して!"と要求するより、"ちょっとおさえてみようか"と指示するくらいが優秀な団体」
というようなことを、指揮者の皆さん口をそろえて言うのです。
これは、反抗的に演奏することが良い、と言っているわけではありません。
演奏に対する自発的な強い気持ちがあれば、自ずと溢れ出てくるものが表現として表れてくるのです。
その、溢れ出るどうしようもない気持ち、というのが大切で、それを集団音楽として上手く調整するのが指揮者の役目。
元になっているのはハートなんですね。
ハートなくして音楽は演奏できません。
「前回言ったことをそのままやるだけでなく、さらにイマジネーションを広げてきた。これは面白い」
となり、さらに上の段階へ進む指示があります。
そうなると、お互いが音楽を通して昇華していく素晴らしい練習になっていきます。
このような磁場が発生するような練習を経験すると、がぜん楽しさが違います。
いい練習とは、こういう練習のことを言うのだと思います。