【ボイトレまとめ 14】緊張の対処法
最近、企業の発表会などにお伺いする機会をいただくようになり、トップのプレゼンを聞いて感じることがあります。
皆さん、通常よりは人前で話すことも多く経験されてきたのでしょうし、話し慣れているのでしょうけれども、過度に緊張なさっている方がとても多いのです。
やはり、たくさんの報道陣を前に話すのですから、一言間違えば、記事になってしまいます。
そして、大抵の経営者は多忙で練習をあまりなさらずに舞台にあがります。そういう状態で完璧を目指そうとすれば、それは過度な緊張を強いられることになります。
過度な緊張は、その人本来持っている良い面が出なくなりますので、やはりマイナスになります。
緊張しすぎると、横隔膜が緊張で硬くなってしまい、息が流れなくなり声が響かなくなって表現力落ちます。また、声がかすれたり、裏返ったりしてしまいます。つまり、話の内容がうまく伝わらなくなってしまうのです。
ただ、緊張とは諸刃の剣と同じで、良い緊張をすると、その人の実力以上の力を発揮できます。だから、本番前に緊張して舞台にあがることは決して悪いことではありません。
人間が緊張するとアドレナリンというホルモンが出て交感神経を興奮させるため、呼吸が多くなり、血圧が上がって、食欲も出なくなる状態になります。
人類の昔から、緊張状態というのは、戦うために必要なエネルギーを集中させる反応なのだそうです。敵(人間や獣)が現れたとき、酸素をたくさん送り込み、消化活動を停止しエネルギーを重要な器官に集め、血管を収縮し、攻撃されたとき出血量を抑えるという働きがあります。
また、緊張すると脳波は緊張を示すβ波になり、意識は分散し、考えなくてもいいような雑多なことが頭に浮かびますが、こうなることで、どの方向からの攻撃にも対応でき、あらゆる戦闘方法の対応策を瞬時に探り、選択することが可能になるそうです。
食欲が落ちたり、手が冷たくなったり、落ち着きがなくなるのはそのせいなのです。
つまり緊張するということは、人間が生き残るために戦闘態勢に入ったことを意味するのです。
生きるか死ぬかギリギリのところで能力以上のものを引き出そうとする生命の知恵なのかもしれません。
しかし、そうは言っても、頭が真っ白になるほどの過度な緊張は避けたいものです。
緊張が激しい人ほど、リハーサル回数を重ねておけば心配ありません。
どうしても忙しいというのであれば、前の日に一回でも良いので通してスマホで録画し、自分で見て確認しましょう。約束しますが、本番でガタガタになることはありません。
ただ、リハーサルをしていても、やはり怖いものです。
成功する最大のコツがあります。
本番で、最初の3分を確実に乗り切ることです。
だから、他が出来なくとも、最初の3分だけは、何度も何度も練習しておきましょう。10回続けて完璧に話せるまで練習しておくことです。
また、今日は緊張感が高すぎるかなと思うときは、丹田と言われる「へそ下9センチの場所」を特に意識して張りながら話しましょう。
横隔膜がしっかり使えるようになり、響く声がスムーズに出るようになります。