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ライフワークとしての学びを考えます。

一回限りの芝居 一回限りの人生

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昨日、俳優の高倉健さんがお亡くなりになったとのニュースを見ました。

私の講演でも、信頼感と説得力のある低い声のお手本として高倉さんの声をいつもあげさせていただいています。
そういうこともあり、高倉さんの訃報は、私にとって特別な思いをもって心に響いてきました。

最近の高倉さんは仕事を選んでいたと言います。

一つ映画を撮ると長い期間休みをとらなくてはならないほどの集中を持って仕事をする高倉さん。
「自分があとどのくらい仕事ができるのか?」「もうこれで最後かもしれない。」
そう自らに問い続け、一回一回の仕事が真剣勝負だったのだそうです。

ご年齢もありますし、もしかしたら心に思うものがあったのかもしれません。


つい1週間前のこと。
ある長野県のホテルで食事をしたとき、マネージャーの方と高倉さんのお話になりました。。

「最近、お一人で高倉健さんがいらしてくださったのですよ。帽子を目深にかぶって、物静かに気配を消していらっしゃいましたので、高倉さんとは分かりませんでした。周囲のお客さんもまったく気がついていない様子でしたよ。」


静かな気持ちでいらっしゃりたかったのでしょう。
高倉さんと分かれば、否が応でも周囲が注目してしまいます。

さすが、名俳優。
見事としか言いようがありません。

高倉さんは、最小限の言葉と演技で、役そのものになりきるため、本番は1回しか撮りません。
「映画はその時によぎる本物の心情を表現するもの。同じ芝居を何度も演じる事は僕にはできない」
「普段どんな生活をしているか、どんな人と出会ってきたか、何に感動し何に感謝しているか、そうした役者個人の生き方が芝居に出ると思っている」
と、ある番組でのインタビューでおっしゃっていました。

特に晩年の心の震えを表現したような芝居は心に残ります。
素晴らしい作品をありがとうございました。

ご冥福をお祈りいたします。


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