次回のショパンコンクール優勝候補?韓国の俊英、チョ・ソンジン
韓国の若手ピアニスト、チョ・ソンジン。
2014年でまだやっと20歳ですが、素晴らしい演奏を聴かせてくれています。
2009年11月、浜松国際ピアノ・コンクール15歳で最年少優勝。2011年6月にはチャイコフスキー国際コンクールで第3位入賞。2014年には第14回アルトゥール・ルービンシュタイン国際ピアノコンクールで3位に入賞。
怒濤のコンクール荒しと思われるようなプロフィールです。
こういうピアニストの演奏は、作品本来の内容よりも、アグレッシブに強い音で押しまくるというイメージがあるのですが、良い意味で裏切られました。
最近、チャイコフスキーコンクールピアノ部門優勝者で、ピアニストで指揮者でもある、プレトニョフと共演したショパンのコンチェルトでは、よく歌い込み、しかも自在なテンポの揺れをもって内容豊かなショパンを聴かせてくれて、心の底から感心しました。
指揮のプレトニョフも見事。ここまでテンポをゆらしたら、オーケストラがなかなか合わないものですが細部までピタリとつけた素晴らしい指揮ぶり。
体も大きいわけではなく、どちらかというと小柄なのですが、体重を乗せた音の深み、心の動きに敏感に反応する指など、体格を十分カバーするテクニックをすでに備えています。
今年行われたルービンシュタインコンクールで弾いた、リストのソナタが20歳とは思えないような深みのある演奏でした。
ピアニストにとって最高峰であり、難曲中の難曲であるこの作品を、自分のものとしているのは立派。
普通のピアニストなら、指を動かすだけで精一杯のところを、余裕を持って歌っているところなど素晴らしく、見習いたいです。
ただ気になるのは、歌い込みすぎて、左手と右手をずらしてしまうところ。大昔の巨匠スタイルならいいのですが、現代ではやり過ぎてしまうとちょっと古くさいイメージになります。
ただ、パリでミシェル・ベロフという素晴らしい師匠についてますから、ここは安心しています。ベロフも尊敬すべき本当にすごいピアニスト。アカデミックな音大教授でベロフの演奏をけなす人を聞いたことがないくらいに、しっかりとした音楽をする人です。
このチョ・ソンジン、現在ショパンのレパートリーをさかんに演奏していることから、もしかしたら2015年に行われるショパンコンクールの準備をしているのではないかと思わされます。
もし出場するのだとしたらば、優勝最有力候補であることは間違いないと思います。
アジアでもこのようなピアニストが出てくるようになったのですね。
まだ20歳。
これから楽しみなピアニストです。