才能がありすぎた天才 指揮者マゼール
2014年7月13日、クラシック音楽の巨匠時代最後を飾るような大巨匠、指揮者のロリン・マゼールさんが亡くなりました。
歴史の古いヨーロッパのみ出現するような天才。
モーツァルトは、どんな初めて見た楽譜でも一度目を通しただけで暗譜してしまったと言われていますが、マゼールも同じような才能があったのではないかと思えます。
日本経済新聞の2014年9月12日「追想録」に、マゼールのことが記事になっていました。
・・・・(以下引用)・・・・
楽譜に手を加える指揮者だった。原典通りに演奏するのが常識の時代に、20世紀前半までの巨匠らの流儀を受け継いで譜面を直した。「天才だから許された」
同氏が出演した2010年末の東京でのベートーベン全交響曲演奏会でも「作曲家が生きていたらそこまでやるはずという楽譜のいじり方をした」
驚異の記憶力で、指揮は正確を極めた。冷たい印象も与えたが「酒好きで気さくな人だった」(篠崎氏)
・・・・(以上引用)・・・・
ベートーヴェンの時代に演奏されていた楽器は、現代の楽器とは性能が違いました。
そのため、現代の楽器に合うように楽譜に手を入れることは、最近の指揮者でも少しは行います。
しかし、マゼールの場合、大きく手を入れて自分の音楽にしてしまっていたのが凄いところです。
その真逆が、日本の指揮者であり巨匠の朝比奈隆さんでした。
朝比奈さんは、愚直に譜面通り、ベートーヴェンが書いた通りに演奏していました。
それでも、音楽は深みを持って鳴り響いていたのです。
このことを思うと、手を入れても、手をいれなくても、オーケストラの前にどのような人物が立つのか、ということが問われているような気がしてなりません。
マゼールのような指揮者は、今後はなかなか出て来ないと思います。
ご冥福をお祈りしたいと思います。