腕組みしたり両手を後ろに組むのは良くないの?
私が人前でしないようにしている手振りがあります。
「腕組み」と、「両手を後ろで組む」ことです。
ビジネスのときや、プレゼンで、腕組みしたり後ろ手を組んだりしている方を見ることがあります。特に、質疑応答のときに、その手振りのある人が多いですね。人の話を聞くときについついそうしてしまう場合があるようです。
腕組みは相手に対して威圧感を与えます。
上下関係がはっきりしていて、上の立場の人だったらいいのかもしれません。
元投手、吉井理人さんの著書「投手論」で、「現役時代、コーチに腕組みされて威圧感を感じたので自分がコーチになったときはしないように気をつけている」、と書かれていたのを見たとき、その通りだと思いました。
している本人は威圧感を与えようと思ってしていないのに、なんとなく腕組みしてしまう人は、クセになっているのだと思います。
考えを深めようとして組んでいる場合もあります。これは、見ていて感じられますので不安にはなりません。
私も一時期、何気なく腕組みしていることにきがつき、なるべくやめるように意識しました。もし相手が不快な思いをされると困るからです。
「両手を後ろに組む」は、意外にする方が多くいらっしゃるように思います。
以前、仕事先の指揮者の先生が「『両手を後ろで組む』姿勢をとるのはやめなさい。こうやって人の話を聞いていたらどう思いますか?手はこうでしょう?(手は前で、どちらかの手を片方の手でおさえる)」と、皆に対して繰り返しおっしゃっていたので、気にするようになりました。
武将時代に、敵に対して「私は武器をもっていません。あなたに攻撃しませんよ」と言う意味で手を前に出していたという話しもあります。
例えば、接客のときに、お客さんに対して両手を後ろに組んでいたら、あまり良い印象ではありませんね。
誰も見ていないところで、思索するときは良いかもしれません。ベートーヴェンが森を散歩しながら曲を考えているときの姿は後ろに手を組んでいます。
人前でついついこの姿勢をとってしまう方は、ほとんどが悪気なく「なんとなく」してしまうのではないかと思います。ある種のくせのようなものではないでしょうか。だから、必ずしも両手を後ろに組んでいるからといって、人の話を傾聴していないかというと、そうでもないのかもしれません。
私は、だからこそ、人の見ていないところでも、できるだけそういう姿勢はとらないようにしています。大事な場面でついついクセが出てしまうと自分が困るからです。
プレゼンやスピーチのような人前で話すときは、声も大事ですが、見た目も大変重要です。
私は、ボイストレーニングと同時に、話すとき手振りをどうするかというところまでお伝えしています。
手は前で、内容に合わせた身振り手振りの動きをするとよいでしょう。
最近は、ろくろを回すように両手を前に出している方が多いですね。
何もしないでダラリと両手をたらしているより、ずっと説得力があります。
また、手振りをつけたほうが、頭の中で自分のイメージや考えがまとまり、より良い話ができます。
腕組みや両手を後ろで組むより、手振りをくわえてみると相手に与える影響力も大きくなります。動かしていれば、手持ち無沙汰になって腕を組むことも少なくなるでしょう。
良好な人間関係を築いたり、良いビジネスをしていただくために、できるだけ腕組みや両手を後ろで組むことに対して気をつけていくとよいと思います。