人前でしゃべれなくなるマイナスのループから脱する方法
人前で話すのはどんな人でもあまり気が進まないものです。
しかし、「話す」以前に、「声の出し方」が分からないという方が多いのに意外と驚きます。
スポーツをやっていたり、文化的活動を行っていた経験があれば、少しは声を出すということもあるのかもしれませんが、最近は子供の頃から「インターネットとの対話」が増えて、あまり声を出すことになれていないのですね。私も、インターネットの楽しさを覚えてからは、人と話す機会が減っているような気がして「よくないな」と思うことがあります。下手すると、「一日一言も発してなかった」という日があったりして、愕然とすることがあります。
こういう状況では、あまり人前で話すことや人と関わることが苦手になってしまうのは自然の成り行きかもしれませんね。
そういう人が人前で、「あ・・・」と言ったきり、固まっておられる様子を見ると、そういうことを強く感じます。
「声を出す自信がない。(たくさんの人前で出したことがない)」→「声が出るだろうか?」→声帯周辺や首周辺の極度な緊張→声帯を締め付ける→発声できない→「みんながこっち見てる。やばい、やばい、やばい」→焦り→発声できなくて思考もストップ→白くなる
というマイナスのループに陥ります。
何年も歌を歌っているような人でも、リハーサルではよく歌えていたのに、人前で緊張するといつもの高さが思うように出なかったり、息が詰まってしまいスムーズに流れなかったりするということは、本当によくあることです。
だから、慣れていない人が出なくなるのは自然なのですよ。
まず、こういう方は、第一歩として、「声を出すのは怖くない」「声を出すのは楽しい」ということを知っていただくことから開始します。
世の中「音楽の嫌いな人」ってなかなかいないですよね。
まずは、好きな歌を歌っていただきます。
その方の呼吸に合わせて伴奏をつけて差し上げると「歌は不得意なんで~」と謙遜なさっている方でも、たいていは楽しそうに歌われます。
そこで「あら、結構できるじゃない」と思っていただく。
私も一応プロのピアニストで、声楽もやっているから、歌の呼吸に合わせるのは慣れているのですよね。
そこから、しゃべりにつなげていく。そうすると、どんな人でも違和感なく入っていけます。
まず、マイナスのループの第一段階まで落としていいのです。
「声を出せないんじゃないか」→「いや、とにかく声だけは出せる」→「なんとかなる」
と持っていくとループにはまりません。
勢いをつけてそのものズバリから入る方法もあります。その場合、相当上手くやらないと、慣れていない人の場合は、「恥をかいた」と思わされます。
日本人は「恥の文化」。人前で恥をかいたと思ってしまうと、「挽回しよう」「さらにチャレンジしよう」というよりは、学ぶ意欲が萎えてしまうのをたくさん見てきました。特に合唱などはそれが多いですね。
第一歩は「声を出す喜び」と「できるんだ」という最初の小さな成功体験なんだと思います。