普通に話しているだけでは語尾は聞こえていません 知的で説得力のある響きを手に入れるビジネスボイストレーニング 「S語尾編」
語尾が不明瞭になって、言葉が落ちてしまったように聴こえてしまうのはとても残念なことです。
例えば「~です。」と終わる場合と「~ではありません。」と終わる場合では、聞こえ方によっては内容が正反対になりますので、語尾をしっかりと言い切るということはとても大事なことです。
とくに、一番最後の「~です」の「す」。これが聞こえ難いケースが多いと思います。
なぜ聞こえ難いのかというと、無声音であるからです。
標準的に「~です。」と終わる場合の「す」は、ほぼ「無声音」。
(地域によっては、「す」が「有声音」になる場合もあります。)
「無声音」とは、声帯の振動を伴わないで発音します。[k]、[s]、[t]、[h]、[p] などで、母音を抜いてしまう状態のことです。
日本語は「~します」「~です」など[s]で終わる場合が多く、無声音で母音がない状態ですと響きが得られずに、広いところで人前で話すような場合は、いつも語尾が聴こえない状態になります。
もちろん、あまり良く聞こえない場合でも、日本人同士であれば何をいっているのか想像力で補って聞いていますので、意味は伝わります。
しかし、いつも語尾が落ちていると、やはりいまひとつ弱く聞こえてしまいます。しっかりした[s]が聞こえると言葉に生命力が宿ります。力強いメッセージを伝えるために、しっかりした[s]の無声音は無くてはならないものです。素晴らしい政治家の演説を聞いていると「S語尾」をこれでもかとしっかり発声しています。聞いている方はこれで普通に聞こえていますから、意識しなかったら本当に物足りない様子になってしまいます。
それでは、[s]のボイストレーニングの方法をお伝えします。
◆[s]の無声音トレーニング
準備:腹式呼吸がポイントです。あばら骨の下とおへその間あたりに手を当ててください。
1、顎を下ろして舌の先を下の歯につける。口を開けて息を吸う。吸ったときお腹が少し張る感じ。
2、口が少し開いている状態まで口を閉じる。舌の状態は同じ。顎はできる限り下げておく。お腹を軽く手で押しながら歯と歯の隙間から「s~」と3秒間息を吐く。
ポイント:「S-ッ」と力強い音がするように。ティッシュが飛ぶくらいの風圧です。
3、3秒吐き終わったら4秒目で口をパッと開けて息を吸う。息を吸ったときにお腹が張って手が元の位置に戻る。
4、1、2、3、を繰り返す
このトレーニングをすると、無声音のときに無意識に腹式呼吸を使えるようになり、「s」がはっきりと聞き取れるようになります。
実際しゃべるときは3秒も伸ばしませんので、かなり楽に発音できるようになります。
ただ、いくら上手になったからと言って、語尾ばかりのばしすぎたり、強調しすぎたりしないようにしてくださいね。
このトレーニングになれてきましたら、人前でしゃべるときや、実際のプレゼンで試していくとよいでしょう。
ぜひ力強いメッセージを伝えてください。