「だから帰国子女って嫌われるのかしら」 グローバルコミュニケーションの正反合
2012年11月21日、第36回「朝カフェ次世代研究会」は、永井孝尚さん の 「TOEIC 900点でもグローバルコミュニケーションできない理由」 を聞いてまいりました。
この日は朝カフェのあと、ランチを音大の先輩とご一緒する機会がありました。5学年上の同門で、先生が共通していると話しが合うというのが音大の良いところでしょうか。
彼女は、中学2年までアメリカに暮らした帰国子女。音大卒業後は、フランスに何年も留学していました。英語はネイティブで、今はフランス語の同時通訳の仕事もしています。
音高・音大時代や留学中は人とのコミュニケーションはまったく気にならなかったそうですが、まだ小さい息子さんがいらして、今初めてお母さん同士のコミュニティやPTAで大変な思いをなさっている様子でした。
どこが大変かというと・・・
・「空気」で決まってしまう。
・問題(子供さん同士のいざこざやいじめなど)に対して、論理的に説明をすると嫌われてしまったり、無視されてしまう。話し合いが成立しない。
・一度決まった方針が、会議で黙っていたのに裏でいろいろと話し合われてひっくりかえされる。
・時間がある(余裕のある)方が多いので、いつのまにか陰口がどんどん大きくなる。
・おかしいものをおかしいと言ってしまったり、物事を湾曲的に表現しないといじめられる
中学2年まで暮らしたアメリカでは、子供の頃から「自分の意見を言う」、「状況を説明する」などしないと、良くないこととみなされるそうです。子供なりに自分の権限を守るために、生きていくために、そういう体質にならざるを得なかったと言います。
ただ、その体質のまま日本で同じことをすると嫌われるというわけです。
その話を聞いていて、まさに今朝の「朝カフェ」で聞いたことと似ていると感じました。
「日本は空気で話し合う」
「グローバルはの話し合い『正反合』である」つまり、意見に対して反論し新しい価値を作り出す。
そのため、グローバル議論で必要なことは、
・「おかしい」と思ったら「おかしい」と言う
・意見を言う場では意見を言う
・出来る限り事実+提案で論議(間違いはOK)
・裏で辻褄を合わせようと努力しない
・honest communicationを心がける。
注意「正反合」なので逆に意志伝達はとても丁寧。
例:That's fantastic,and I have another good idea
「最近、やっと対応できるようになったの。空気を読んで話すとか。全体で話す前に一人一人と連絡するとか。でも、めんどくさいよね。だから帰国子女って嫌われるのかしら」
と、ふうっとため息をついておられたのが印象に残っています。
ソフトな印象で、お気遣いも素晴らしく、とても「嫌われる」ような方ではないと私は思います。日本では、戦国武将が狭い茶室で話し合い、そして何も語らない「間」で物事の流れが決まってしまったとか、禅問答のような話を聞くと、日本のコミュニケーションは、高度でもあり難しいのだなということを改めて感じました。
この日は、偶然に2回勉強になってしまった日でした。
永井さん、先輩、有り難うございました。