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ライフワークとしての学びを考えます。

自分のレンジを知ることは戦略でもある

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集団で一つの目標に向かって何かをするときというのは、志を同じくする必要はありますが、自分のレンジというものを持っていないと失敗します。
ただ、それは加減するということではない
 
2012年10月13日、私が運営・指導を務める合唱団「コール・リバティスト」の練習がありました。この日は、全体の合わせに東混の秋島先生をお招きしました。
 
佐藤眞作曲の混声合唱のための組曲「蔵王」より、「吹雪」は、この「蔵王」の中でも最も強く存在感を誇る作品です。
蔵王の山々に吹きすさぶ猛烈な吹雪を表現しています。
 
この作品の一番最後に、フォルテシモ(大変強く)での、ロングトーン(音を長くのばす)があります。
 
強い音をのばすときというのは、工夫がいります。
それは、最初からマックスまで出さないということです。
 
この作品の場合は、合唱団が音を伸ばしているときに、ピアノの伴奏がだんだん煽っていくので、最後のところでそれに上手くのれるようにすることがコツです。
 
最初から最強に入ってしまうと、伴奏に乗ろうと思ってもそれ以上のびず、良いところできつい状態になり、伸ばしている間中が辛い時間になってしまいます。また精一杯だと、発声的にも崩れやすいのです。
また、あまり一杯一杯で演奏しているのは聞いている方も辛いですね。
 
そういうときは「だいたい自分のレンジで80%くらいで入るのがよい」と秋島先生はおっしゃいます。
 
例えば、「PP(ピアニシモ、とても弱く)で出してください」という場合、声の大きい人も小さい人も同じくらいのPPで出せます。弱い音の場合は、大きく出してしまうと分かりやすいので皆気を遣うからです。
 
でも「ff(フォルテシモ、大変強く)で出してください」というと、出せる音量に個人差がありますので、声の大きい人に合わせてしまうと、すぐに限界を超えてしまい、コントロールできなくなってしまいます。合唱団の場合、皆が同じフォルテシモにすることは無理なのです。周りの人と同じでは、失敗してしまいます。
 
必死にならないように80%で入り、その後自分の最強まで持っていくことが、上手に歌うコツであり、戦略です。

またブレスの位置も調整が必要です。
合唱でロングトーンを歌う場合、「カンニングブレス」という、人の吸わないところで息継ぎをするというテクニックを使います。そうすると、全体が途切れずに音が続いているように聞こえるのです。
 
こういうときは、特に息の量も使いますし、カンニングブレスをパート内で計画しておくことも大事な戦略の一つですね。
 
この日の稽古では、かなり良い演奏になってきました。
 
後は「蔵王」より「おはなし」「樹氷林」「雪むすめ」、チルコットの「ダニーボーイ」、松下耕の「三つの詩篇」より「谷川の水を求める鹿のように」を歌いました。
 
皆さん、回を重ねるごとに進歩されていて素晴らしいです。
そして、皆さんの真摯な姿は、音楽に鏡のように反映されていると感じています。
 
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