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「外国で確実に自分の名前を覚えてもらう方法」 坂本重太郎さん42年間の外交官生活を振り返られて #asacafestudy

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2012年10月10日『第35回朝カフェ次世代研究会』に参加してまいりました。
 
タイトルは「外交官から見た、昭和という時代」
 
昭和の高度成長期に外交官として活躍された坂本重太郎さん にご登壇いただきました。
 
1957年より外務省にご勤務され、駐パラグアイ大使、中南米局長、駐ベネズエラ大使、駐スペイン大使を歴任。
昭和天皇、常陸宮両陛下、現天皇陛下・皇后陛下などによる外交を実施。さらに田中首相、大平外相・首相、福田外相・首相、三木首相、宮沢外相、竹下首相といった歴代総理とのご交流も深かった方です。
 
華やかな外交官としてのご活躍の裏で、「日の丸を背負いながら」様々なご苦労や、文化や思想の違いによる葛藤を抱えながらのお仕事。
外交官とはなんという「胆力」のいる仕事なのだろうかと今更ながら気がつかされました。
 
まさに、亀井勝一郎の
「魂の力とは、壮大な矛盾を心に抱き続ける力である」
と言う言葉に思いを馳せてしまう1時間でした。
 
坂本さんは「外国とつきあう場合に、相手はどんな文化圏に属しているかを考えてつきあう必要がある」とおっしゃいます。
例えば、欧米では理屈がとおらないと何を言ってもだめ。
逆に東南アジアでは、理屈が3割で情に訴えなければだめ。
私自身、ヨーロッパの音楽を仕事としている身でもありますので、共感を覚えます。
 
以前、「外交官になるならお酒が強くなければなれない」と言われたことがありますが、坂本さんの酒豪ぶりにも驚かされます。
各国で「飲兵衛の大使がいる」とその名を轟かせておられたそうです。
中国では、お酒で乾杯することが友好の印。恩周来と強いお酒で乾杯するシーンは圧巻です。
 
外国の方々は、もともとお酒を分解する酵素が強いといわれており、日本人は下戸であることが多い民族です。坂本さんは北海道のご出身で、良くお酒を飲む土地柄でもあり、元々お強かったのでしょう。
もちろんそれだけではないはずですが、お酒の強さも外交官の大事な素質の一つだということを再認識いたしました。
 
お酒の席で仲良くなることも大事ですが、もう一つ「確実に名前を覚えてもらわなければいけない」とおっしゃいます。
 
その方法とは、海外の方に自己紹介するときに
「日本では3つの『Moto』があります。『味の素』『ミキモト』(?)『サカモト』です」
と、よく知られているわかりやすい物を例にとって言うと、一度で覚えていただけるのだとか。坂本さんのユーモアは万国共通なのでしょうね。
それでは、永井の場合は、
「日本では3人の良い男がいます。『ナイスガイ』『タフガイ』『ナガイ』です」
・・・と、私は男性ではありませんが、こういう具合でしょうか?
 
最後、様々な領土問題を一刀両断する迫力は、引退されているとはいえ、現役の切れ味を彷彿とさせるものを感じました。
 
経験から語る言葉の重み。
本物とはこのようなものなのかと思いました。
 
今回の坂本さんのご登壇、御子息でもあられる坂本史郎さん に私がリクエストさせていただきました。
激動の日本の歴史と、そして未来への示唆をいただけたと思います。
 
坂本重太郎さん、朝早くから貴重なお話を有り難うございました。

*2012/10/11 8:25 題名の一部を変更いたしました。

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