オルタナティブ・ブログ > 大人の成長研究所 >

ライフワークとしての学びを考えます。

「待つ」こそ前向きであれ

»

「待つ」という言葉。
「待つ」とは、一見、楽をしているような、受動的な響きを感じます。
 
しかし、人の成長を無条件に願ったときの「待つ」というものがあります。
 
2012年8月20日NHKプロフェショナルの流儀に、”駅弁販売のカリスマ”として全国から注目を集める三浦由紀江さんが出演なさっていました。
三浦さんは、44歳でパートから始め、53歳で埼玉・大宮営業所の所長に抜擢され、そして現在、JR大宮駅構内の売店など9つの店舗で100人を超える人たちを統括しています。
 
その中で、若手のリーダーが、お弁当のメニューを老舗のお弁当工場と打ち合わせする場面がありました。
 
三浦さんは、失敗の経験から伸び悩んでいる若手に成長してもらうチャンスだと考え、打ち合わせを任せることにしたのです。
 
当日、若手はやはり意見が言えない。何か言えばいいのに言えない。
三浦さんは手助けしたい気持ちを抑えて、一歩踏み出すのを「待つ」。
しかし最後、牛肉弁当に対する彼の渾身の意見でお弁当の方針が決まったのです。
 
 
待つことはしんどい。
答えを言ってしまえば簡単だからです。
 
自分なら待ちきれなくてすぐに言ってしまう、すぐに手伝ってしまう。
 
そこを「全力で見守る」「何も言わずに心が並走する」。
それこそが魂の力だと感じました。
 
そして何も言わずに、その人のいいところを見つけて「思うようにやりなさい」という引き受ける力。
そうは言っても、もし何かあったら、責任をとるのはリーダーです。逃げられない。
三浦さんは「引き受け」をされているのだと思いました。
 
「引き受け」とはその方の成長を無条件に信じて引き受けること。
 
人を育てるという言葉から感じるのは、いろいろと厳しく細やかに指導して、成長していただくというイメージがあります。
しかし、三浦さんを見ていると、その人が魂から語る言葉を待っている、黙って見守っている姿が印象的でした。
 
そうすることで「自分で出来た」という自信の芽が生まれる。
その芽を大事に育てておられるのだと感じました。
 
待つことは決して、受動的ではない。
 
「待つこそ前向きであれ」
 
自分の中からそのような言葉が聞こえてきました。

良い番組を有り難うございました。

Comment(0)