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半音下降に気をつけろ

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歌っていると、いきなり高い音や低い音に飛ぶような「幅の広い音程」が出てくると歌いにくいものですね。
しかし、もう一つ歌いにくい音というのがあります。
 
2012年9月8日私が運営・指導を行う合唱団「コール・リバティスト」での練習を行いました。
この日は日本のプロ合唱団、東京混声合唱団のテノール志村先生をお招きしての練習でした。
 
昨年5月東京混声合唱団での演奏会で、三善晃さんの名作「三つの抒情」という女声合唱の演奏があったとき、混声の演奏会で女声の曲をすることの素晴らしさに感激しました。女声だけのコーラスというのは、混声とはまったく違った器楽的な美しさや表現力があります。両方を聴けるということは、聴衆からするととても豊かな気持ちになれるものです。
 
次回リバティストの定期演奏会では、混声合唱の中に女声合唱を入れるという意欲的なプログラムとなっています。
松下耕さん作曲、女声合唱とピアノのための組曲「三つの詩篇」です。
 
この日から、「三つの詩篇」より第一曲「谷川を求める鹿のように」を練習し始めました。
 
3曲あるうちの、この第一曲目が一番長く、込み入った作りになっています。
しかし、音がハーモニーしたときの表現効果は抜群で、ある程度の力があり音を一生懸命とれば作品が助けてくれるという、お得な曲なのです。
例えば、パレストリーナのようなルネサンス時代のアカペラ作品などは、音自体はシンプルに出来ているのですが、これをどんなにパーフェクトに歌ったとしても、お客さんには普通に聴こえてしまう。相当の実力がないと、感動する演奏になりにくいのです。
 
練習では、音を読んでハーモニーしていく作業が始まったのですが、この作品で音が取りにくいのは「半音の連続」です。
半音とは、一番狭い音程です。例えば、ド→ド#、ミ→ファなどの、鍵盤楽器で言うと、「すぐお隣の鍵盤」の音程です。
 
「三つの詩篇」は、その「半音」がとても多いのです。
半音を使うということは、とても繊細な表現が可能なのですが、歌うほうからすると、意外にとり難い音程なのです。
 
特に、「半音」で下降するとき。これは、普通に器楽的な感覚でとっていると、大抵は広めにとってしまいます。
「半音」下降が連続すると、どんどん幅が広くなってしまい、最後の音はとても低くなってしまうということもあります。
 
半音下降を歌うときのコツは「薄くすくうようにして歌う」ことです。
取り難いからと言って、頑張ってがっちりとらないでくださいね。
 
志村先生からも、「まず最初の音を正しくとらないとダメです。その後どんどん下がってしまいますよ」と教えていただきました。
 
しかし、きれいにハモれば信じられないほどの良い音がします。
ぜひ頑張って音取りしていただきたいですね。
 
この日は他に佐藤眞の「蔵王」の「樹氷林」「投げよう林檎を」、ボブ・チルコットの「The Lily and the Rose」を歌いました。

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