理想は力に満ちていながら力が抜けている
歌のレッスンで言われて、楽器のレッスンでは言われないことがあります。
それは「歌いすぎないこと」です。
声帯はとてもデリケートな楽器で、ピアノのように長時間使うことができません。有限なのです。
歌を始めると、良い意味での「手の抜き方」が分かってきます。
全てに一生懸命になってしまうと、最後まで持ちません。
曲の中で、「ここぞ」というところを見つけ、そこは命がけになりますが、その他はあまり力入れないで流すことを覚えます。
6月16日私が運営している合唱団コール・リバティストの練習で、佐藤眞作曲、混声合唱のための組曲「蔵王」より「吹雪」を歌ったのですが、ご指導の志村先生より
「歌いすぎないで。」
と何度もご注意がありました。
「吹雪」は、全体的に強く、音が高くてスピード感があり、音程の幅もあるので、つい喉に力を込めてしまい、テンポに拍車がかかって濁流に飲み込まれるように歌ってしまうのですね。
ただし、力のない人が下手に手を抜くと、
「テンションが下がってしまう」「息の量まで減らしてしまうので、音程が下がってしまう」
というあまり良くない状態になってしまいます。必ず指導者に見てもらうことをおすすめします。
私は、こういう曲は「響きだけで」歌えるようになるといいと思います。
高い音や強い音の場合、「力」で歌ってしまう方が多いのですよね。そうするとつぶれるのも早く、持ちません。
響きだけで歌えるようになるボイストレーニング方法は、またの機会にご説明いたします。
こういう作品はごまかしがきないので根性で頑張っても、すぐにメッキがはがれてしまいます。やはり日頃のボイストレーニングを繰り返し、基礎体力をつけながら声磨きをしていくことが大事ですね。
理想は「力に満ちていながら歌いすぎない」です。
まだまだ練習したばかりですが、稽古を重ねればよくなっていくような予感がしています。