心のこもった一杯のおもてなしが一国をも動かす力を持つ
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昨日は、東船橋にある知人の茶会にお招きいただき出かけてきました。
正式な茶会は初めてです。
茶事において最も大切な濃茶の緊張感のあるもてなしに、身も心もすいこまれるようでした。
千利休が始めたとされている濃茶の回し飲み。
戦国時代、武将同士が回し飲みをして心を通わせたのだろうと想像できます。
回し飲みといえば、特に印象的なエピソードを思い出してしまいます。
天正15年、大阪城での茶会において、業病患者であった大谷吉継が口をつけた茶碗を他の武将たちは感染を恐れて口をつけなかったとき、石田三成だけはいつもと同じように茶を飲みほしました。
それに感激した大谷吉継は、関が原の合戦にて三成と共に戦う決意をしたと言われています。
小さな茶室の中で政治的な動きが決まり、武将同士がけん制しあう。
そしてまた、戦争に行く前「死を賜う」ために心清める究極なまでに昇華された一服。
常に死と隣り合わせであった武将たちの心のよりどころでもあったと思います。
そして、当時は国や城と同じ価値にまで高められた茶器や掛け軸などの芸術品。
茶道は日本の総合芸術なのですね。
日本人でありながら、こんな奥深い世界があることを今まで知らずにいたことを、なんともったいないことをしていたのかと改めて思いました。
この日のお茶会のテーマは「春隣(はるとなり)」だそうです。
一年の中で一番厳しい寒さのこの時期、共にすごした人たちとの感謝。
でも、春はもう隣まできているのです。
しかし、茶道に限らず、一杯のコーヒー、一杯の紅茶・・・おもてなしの心あふれる一服とはなんと人の心を豊かにするものでしょう。
これからも、こんな一杯との出会いを大事にしていきたいと思いました。
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